2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of therapeutic effect prediction tool for molecular-targeted drugs in inflammatory bowel disease using machine learning
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22K07970
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
久松 理一 杏林大学, 医学部, 教授 (60255437)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 炎症性腸疾患 / 潰瘍性大腸炎 / クローン病 / サイトカイン / ケモカイン / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
炎症性腸疾患(IBD)治療において、さまざまな分子標的薬が用いられている一方、個々の患者に最適な薬剤を治療開始前に予測することは、患者のみならず医療経済的観点からも重要な臨床課題である。これまでに我々は、実臨床情報に基づく機械学習の利用を試みてきた。その結果、各種薬剤の治療効果に有用なモデルを構築することができたが、より病態に迫る因子を検討項目として導入することにより、予測精度を高められる可能性があると推測された。IBDの原因はまだ明らかではないが、遺伝的背景、環境因子、腸管微生物叢などのさまざまな影響により免疫状態に異常が生じていると考えられることから、我々は、各患者において生じている免疫異常のパターンが、治療有効性に影響を及ぼすのではないかと考えた。さらに、我々は、従来の臨床統計学的解析には特定の解析対象因子の選択や統計学的有意差の意義、解釈に限界があることに着目した。以上より、新たなアプローチとして、多数のサイトカイン、ケモカインを対象とした免疫プロファイリングに基づく機械学習によるIBDサブ分類が可能かを検討することを着想した。我々は、活動性IBDに対して分子標的治療薬を初めて使用する69症例における投与開始直前の血液検体を用いて、これまでにIBD病態に関連が報告されているサイトカイン、ケモカイン20種類を測定した。そして、それらのプロファイリング、機械学習による分類が可能であるか、さらに、この免疫プロファイリングに基づく新規分類と治療効果との関連性の有無について検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分子標的治療薬がすでに開始されている炎症性腸疾患症例では宿主免疫機構への修飾が加わっていると考えられるため、分子標的治療薬を初めて使用するIBD症例を対象としている。現在、分子標的治療薬の残血清を用いたサイトカイン・ケモカイン測定を治療効果を評価するための観察期間を終えた症例について完了している。現在、機械学習を用いた検討について、解析継続中である。
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Strategy for Future Research Activity |
機械学習を用いたパターン認識に基づくIBDサブ分類の最適化を継続して実施する。さらに、得られたIBDサブ分類と治療有効性の関連を評価する。これらの結果をふまえ、収集する臨床情報および測定する血中代謝物の選択範囲についての検討を進める。
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Causes of Carryover |
現時点で治療効果評価も含めて解析可能な症例について炎症性腸疾患の病態との関連が報告されている計20種類のサイトカイン、ケモカインの測定を実施した。次年度使用額については、追加検体および追加解析対象項目の解析費用として使用する計画である。
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