2022 Fiscal Year Research-status Report
NSAIDs起因性小腸粘膜傷害におけるオートファジーの関与と治療戦略の構築
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22K07972
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Research Institution | Osaka Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
竹内 利寿 大阪医科薬科大学, 医学部, 特別職務担当教員(教授) (30445986)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝日 通雄 大阪医科薬科大学, 医学部, 教授 (10397614)
永塚 健宏 大阪医科薬科大学, 研究支援センター, 特別職務担当教員(助教) (10860083) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | NSAIDs起因性小腸粘膜傷害 / オートファジ― / 栄養飢餓 / AICAR / ラパマイシン |
Outline of Annual Research Achievements |
カプセル内視鏡等の開発により、非ステロイド系解熱鎮痛薬(NSAIDs)が上部消化管のみならず、小腸でも頻繁に粘膜傷害を引き起こしていることが明らかとなってきた。臨床的にも問題が生じることがあるが、酸が関与しない小腸傷害の詳細な分子機序については不明な点が多く、治療法は確立されていない。ストレス応答として働くオートファジーに注目し、NSAIDs起因性小腸粘膜傷害との関わりについて細胞及び動物実験系を用いて検討することが本研究の目的である。 ラット正常小腸上皮細胞(IEC-6)を用いて、オートファジーの誘導がインドメタシンによる細胞傷害に与える影響を検討した。オートファジーを誘導する方法として、①栄養飢餓、②AICAR(AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)活性化薬)、③ラパマイシンといった前処理を行った。その結果、どの前処理においても、オートファジーの亢進が確認され、インドメタシンによる細胞障害の程度を有意に軽減した。同様の前処理の効果について、インドメタシンを腹腔内投与したマウスにおいて検証した。インドメタシン投与の翌日には小腸に多発性に潰瘍が生じたが、どの前処理においても潰瘍数、潰瘍面積ともに有意に減少した。 以上の細胞及び動物実験の結果から、オートファジーを誘導する複数の前処理により、小腸粘膜傷害が軽減することが明らかになり、インドメタシンによる小腸粘膜傷害にオートファジ―が関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞及び動物実験で、NSAIDs起因性小腸粘膜傷害におけるオートファジ―の関与の可能性が示唆されたので、おおむね順調と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
NSAIDs起因性小腸粘膜傷害におけるオートファジ―の関与を証明するため、オートファジーに必要なATG5のノックアウト細胞やノックダウンマウスにおける、NSAIDs起因性小腸粘膜傷害に対する栄養飢餓、AICAR、Rapamycinといった前処理の影響を検討し、コントロールの細胞やマウスと比較する。オートファジー抑制により前処理の効果が有意に減弱することが確認できたら、学会発表、論文投稿を行う。
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Causes of Carryover |
オートファジ―が抑制されたマウスを作製するため、ATG5ノックダウン用のアデノ随伴ウィルス(AAV)の構築を試みたが難航したため、そのマウスを用いた実験が全く進まなかった。そのため、次年度使用額が生じた。次年度は、ATG5ノックダウン用のアデノ随伴ウィルス(AAV)をできるだけ早く構築し、オートファジーに必要なATG5をノックダウンしたマウスを作製し、すでに作製済みのATG5ノックアウト細胞と並行して、NSAIDs起因性小腸粘膜傷害に対する栄養飢餓、AICAR、Rapamycinなどの前処理の影響を検討する。前処理の影響について、コントロールの細胞やマウスと比較することにより、NSAIDs起因性小腸粘膜傷害におけるオートファジ―の関与を証明していく。
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Research Products
(1 results)