2022 Fiscal Year Research-status Report
酪酸デリバリーカプセル併用と酪酸吸収促進効果による炎症性腸疾患新規治療
Project/Area Number |
22K07977
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
櫻庭 裕丈 弘前大学, 医学研究科, 教授 (90422063)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 酪酸 / マイクロカプセル |
Outline of Annual Research Achievements |
はじめに、酪酸含有マイクロカプセルの作成を行った。酪酸含有量、マイクロコートカプセルの厚さなどの調整を行い作成した。セラック及び硬化油の2層コートで加熱し作成した。マウスへ経口投与する際に用いるゾンデ内の通過性も検証し投与に問題ないことが確認できた。7-8週齢のC57BL/6マウスに抗菌薬カクテル(バンコマイシン 500 mg/L, ネオマイシン 1 g/L, アンピシリン 1 g/L, メトロニダゾール 1 g/L)を、ゾンデ法を用いて3日間投与。その後、C57BL/6マウスに4%DSSの自由飲水により腸炎を誘発した。酪酸含有コートマイクロカプセルを連日投与したマウスとコントロールマウスとで腸管障害の比較を経時的な体重減少率と解剖セ摘出後の腸管長の比較で評価を行った。抗菌薬3日間投与後、マウスを解剖し盲腸に残存する糞便を回収、質量分析により短鎖脂肪酸(酪酸、酢酸、プロピオン酸)の濃度を測定した。その結果いずれも感度以下まで抑制された。また酪酸含有コートマイクロカプセル投与により腸管内盲腸内容物の酪酸濃度の上昇を確認できた。DSS腸炎モデルにおいては、抗菌薬非投与マウスに比べてコントロール群(抗菌薬投与)では有意に体重減少率の悪化、腸管長の高度短縮、病理組織学的評価における腸管粘膜障害の増悪を認めた。一方、酪酸含有コートマイクロカプセル投与群では、体重減少率の抑制、腸管長短縮の改善と病理組織学的な粘膜障害の抑制が確認された。今後有効性の検討予定であるtofacitinibのDSS誘発大腸炎における粘膜障害抑制効果については、投与方法、投与量の設定を行い効果を確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
酪酸含有コートマイクロカプセルの安定化に時間を要した。酪酸含有濃度やカプセルの厚さなどの検討を行い条件を確定させることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
まずは、過去にマウスに投与する条件設定を行っているtofacitinibの有効性を抗菌薬投与による腸内細菌抑制下と新規デリバリーカプセルを用いた酪酸補充下での有効性の違いについてDSS誘発腸炎モデルを用いて検証する。有効性に違いを認めた場合、腸管上皮細胞を分離しMCT-1の発現解析を行う。また、TGF-beta及びIL-10 の発現については、購入したautoMACSを用いて制御性T細胞を分離し発現解析を行う予定である。tofacitinibの有効性に変化がなかった際は、チオプリン製剤について検討する予定である。
|