2023 Fiscal Year Research-status Report
免疫老化関連細胞による自己免疫性膵炎発症メカニズムの解明と治療候補分子の探索
Project/Area Number |
22K07997
|
Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
大村谷 昌樹 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (60398229)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今坂 舞 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (50759553)
西浦 弘志 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (90284760)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 免疫老化関連T細胞 / 自己免疫性膵炎 / オステオポンチン / CD153 |
Outline of Annual Research Achievements |
アポトーシス関連蛋白RP(ribosomal protein)S19に変異型を置換したRPS19 KIマウス(以下Nishiuraマウス)は生理的環境下で加齢に伴い唾液腺、膵臓、肝臓に免疫老化関連T細胞 (Senescence-associated T細胞; SA-T細胞)が集簇し、実質細胞(腺房細胞、肝細胞)の脱落と線維化を伴いながら、それぞれシェーグレン症候群、自己免疫性膵炎(autoimmune pancreatitis; AIP)様、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を自然発症する。 これまでの解析からNishiuraマウスでは、週齢が増すごとにそれら臓器にCD153陽性T細胞が集簇し、CD153(+)SA-T細胞を移入することで、KIマウスにおける病態が促進される。またCD153(+)SA-T細胞が産生する血中オステオポンチン(OPN)濃度が上昇することを明らかにした。 RNAシークエンス解析からSA-T細胞が(老化した)B細胞を活性化し、自己抗体を産生する過程でGPR-X遺伝子がその活性化に関与していることを明らかにした。 このGpr-Xについてその機能を抑制するペプチド、抗体、低分子化合物をそれぞれ作製し、その病態の抑制機能を調べた。その結果、血中OPN濃度はそれぞれの濃度依存的に低下することを明らかにした。また、病理学的検討においても、リンパ球浸潤の抑制、線維化の抑制も確認することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Gpr-Xタンパクに対する市販の抗体がなく、新規に作製する必要があったが、いくつかの抗体を得ることができ、病態改善効果の検討と平行しながら、その抗体の特異性を確認している。 低分子化合物のスクリーニングでは、そのスクリーニング系の構築に時間を要したため。
|
Strategy for Future Research Activity |
①GPR-Xを標的とした治療薬の開発;GPRは7回膜貫通型受容体で、特にGPR-Xはオーファンレセプターとして知られている。長い細胞外領域を持つ接着性GPRファミリーに属しているため、その領域にターゲットを絞り、中和抗体を設計、作製したが、その評価を最終年度に確定させる。評価は病理、血中OPN濃度を指標とする。 ②マウス自己免疫性膵炎のマーカーの検出;RPS19 KIマウスと野生型マウスの①血液、②膵臓の抽出液、を用いたプロテオーム、メタボローム解析を行い、指標となるタンパク質の抽出を行う(ヒト自己免疫性膵炎では血中IgG4が上昇することが知られているが、マウスではこの測定が困難であるため)。
|
Causes of Carryover |
追加でGpr-Xについての抗体、ペプチド、低分子化合物の作製を行うため。
|
Research Products
(6 results)