2023 Fiscal Year Research-status Report
バクテリオファージを用いた非アルコール性脂肪性肝炎のコリン代謝評価と治療応用
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22K08016
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
三浦 光一 自治医科大学, 医学部, 教授 (90375238)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 脂肪肝 / 腸内細菌 / ファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)は2023年にmetabolic dysfunction associated steatohepatitis (MASH)病名が変更された。病名変更の理由のひとつとして脂肪肝の原因が糖や脂質などの代謝異常が主因であるためである。これまでの疫学研究ではこれまでNASHとよばれた患者群は新基準のMASHにほぼ合致することから、同一の疾患として扱ってよいとされる。しかしながら、未だ有用な治療薬はない現状には変更はない。コリンは必須栄養素の一つで不足すると肝細胞からの脂質放出が障害されるため脂肪肝を呈する。しかしMASH患者の多くは十分量のコリンを摂取し、コリン不足は起こらないとされる。MASH患者の腸内において、コリン消費菌が増加するという報告があり、我々のMASH動物モデルでも腸内でコリン消費菌が増加するという結果を得ていた。このことからNASH患者では腸内におけるコリン消費増加によりコリン欠乏が誘導され、それがNASHになるという仮説を立てた。2023年度は新規動物施設で飼育したMASHマウスモデル門脈中のコリン濃度及びコリン代謝産物を測定した。しかしMASHマウス(肝細胞特異的PTEN KO)での門脈血コリン濃度はコントロールマウスと同レベルであり、また代謝産物であるTMAOやTMAも有意な差がなかった。またコリン代謝に関連するBetaineやL-carnitineもコントロールと有意差はなかった。また肝細胞特異的PTEN KOでの腸内細菌の解析でも、旧施設での解析結果と若干異なる印象である。飼育環境の変化により、コリン消費菌の増減に影響を与えた可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
動物飼育施設の新設により、本研究の開始時のマウス飼育環境が異なっており、その影響は無視できないと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは肝細胞特異的PTEN KOマウスに通常食投与の系で解析を行なっていたが、PTEN KOマウスにprobioticsを投与した系、高脂肪食投与マウスなど、他の実験系でまず門脈内のコリン濃度を評価する。その中でコリン濃度が影響する動物モデルを見出し、順次計画書に沿って研究実施予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用予定の試薬があり、前年度の一部金額を繰り越して、次年度の研究費とした。
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Research Products
(2 results)