2023 Fiscal Year Research-status Report
がん関連血栓症における好中球細胞外トラップの役割の解明
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22K08175
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
吉田 雅幸 東京医科歯科大学, 統合研究機構, 教授 (80282771)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大坂 瑞子 東京医科歯科大学, 統合研究機構, 助教 (00581711) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | がん関連血栓 / 慢性炎症 / シトルリン化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、①がん細胞のもつ炎症惹起性および血栓誘発性に好中球NETが関与しているか?②がん細胞が好中球NETを誘発する分子機構は何か?を主題として以下のような研究を行った。がん関連血栓症; Cancer associated thrombosis, CATは臨床研究報告は散見されるが、病態解明はまだ進んでおらず、好中球やNETとの関連に関する新知見は今後の医療においても重要な示唆を与えると考えた。我々は好中球のPAD4活性化を起点とするシトルリン化が高脂肪食負荷血管炎症で重要な役割を果たすことを見出した研究成果(Osaka M, Yoshida M. et al. J Am Coll Cardiol Basic Trans Science. 2021)を踏まえ、がん関連血栓症とそこに至る血管炎症の機序解明を検討することを着想するに至った。 まず、マウスメラノーマ細胞株(B16F10)を移植した野生型マウスを用いて、生体顕微鏡により大腿動脈における白血球接着現象および塩化第3鉄刺激による血栓形成をリアルタイムに観察した。塩化第3鉄刺激の濃度および時間を調整し、観察している大腿動静脈において血栓形成が誘発されることを確認した。さらに、がん移植モデル(TBM)における好中球シトルリン化誘導因子を同定するため、候補ケモカインの血中濃度をがん移植の前後で行い、分子機構を解析した。さらに、好中球におけるシトルリン化を核内外で網羅的に検討する実験系の構築を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
がん移植モデルの作成に成功し、がん組織の生着や炎症惹起作用の一部を観察する実験系が確立できたが、血栓形成についての観察系の確立に調整が必要のため、若干の遅滞が生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞内シトルリン化タンパクの網羅的解析を行い、がん関連血栓症をはじめとする慢性炎症における意義を明らかにする。具体的には、invitroの培養細胞を用いてシトルリン化タンパクの網羅的解析実験を追加する予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定のマウスモデルの構築に時間がかかり、実際のマウス実験の進捗が遅延したため、予算執行が次年度に繰り越すこととなった。2024年度には前年度の実験に加えて、in vitroの網羅的シトルリン化解析を行うことによって当初の研究目的の達成を目指す。
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