2023 Fiscal Year Research-status Report
動脈硬化発症プロセスにおける一酸化窒素修飾がもたらすエンドセリン受容体機能の検討
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22K08203
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
林 宏樹 大阪大学, 大学院医学系研究科, 寄附講座准教授 (20813364)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中神 啓徳 大阪大学, 大学院医学系研究科, 寄附講座教授 (20325369)
島村 宗尚 大阪大学, 大学院医学系研究科, 寄附講座教授 (60422317)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | エンドセリン / 翻訳後修飾 / 動脈硬化 |
Outline of Annual Research Achievements |
超高齢化社会が進んでいる我が国において動脈硬化患者数は増加しており、予防や早期の治療介入を目指すためには動脈硬化の初期発症メカニズムの解明は重要である。エンドセリン受容体はGタンパク共役型受容体(G Protein Coupled Receptor: GPCR)であり、動脈硬化初期ステージにおいて内皮機能障害との関連が知られている。これまでの知見においてGCPRのアダプター分子として知られているβアレスチンは炎症時に誘導される一酸化窒素合成酵素(inducible nitric oxide synthase: iNOS)により翻訳語修飾を受けて(S-ニトロシル化)されシグナルを調整する。本検討では、エンドセリン受容体シグナルが慢性炎症により誘導されるβアレスチンの翻訳後修飾がエンドセリン受容体の機能に影響しているかどうかを検討する。 In vitroの解析を行うため、HEK293細胞でエンドセリン受容体の安定発現株を樹立し、ERKシグナルが増強されていることを確認した。βアレスチンのS-ニトロシル化によりエンドセリンで惹起されるERKシグナルへの影響を確認するために、エンドセリン受容体安定発現株HEK293細胞に野生型βアレスチンまたはS-ニトロシル化されるシステインを変異させた変異型βアレスチンとともにiNOSを強制発現させ、エンドセリンで刺激後のERKのリン酸化をウエスタンブロットを用いて検討した。その結果、野生型βアレスチン+iNOSを強制発現させた細胞においてはERKのリン酸化が抑制されていることがわかった。エンドセリン受容体においてもβアレスチンのS-ニトロシル化により受容体シグナルが調節されている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
これまで使用してきた翻訳後修飾を検討するための試薬が販売中止となり、適切な代替法の探索に時間を要しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
翻訳後修飾検出における代替法の確立し、動脈硬化モデルマウスにおけるS-ニトロシル化のプロファイリングを行う。また樹立した安定発現株HEK293細胞、内皮細胞を用いて、iNOS存在下における受容体機能への影響について検討を続ける。
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Causes of Carryover |
翻訳後修飾の検出のための代替法の探索に時間を要し、その他の検討が未実施になってしまったため。
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