2022 Fiscal Year Research-status Report
心不全応答性エンハンサークラスターを用いた心臓精密遺伝子治療の開発
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22K08204
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松岡 研 大阪大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (90826190)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | CR9 / エンハンサー / 心不全 / ナトリウム利尿ペプチド / 遺伝子治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
ナトリウム利尿ペプチド(ANP/BNP)両遺伝子はゲノム上隣接して存在し、その遺伝子産物は血管拡張・利尿作用を持つペプチド性ホルモンであり、心不全重症度指標・心不全治療薬として臨床で頻用されている。我々は不全心でANP/BNPの発現が誘導される機序を解明するため、先行研究にてANP/BNP遺伝子を誘導する650塩基からなる心不全感受性エンハンサー領域(CR9)を同定した(2014 FASEB J 松岡)。その後の研究でCR9領域のノックアウトマウスでは心臓でのANP/BNP両遺伝子の発現がほぼ消失したことから、CR9は心不全を感知して遺伝子発現を誘導するエンハンサーであるという新知見を得た。更にCR9ノックアウトマウスの心不全モデルでは心不全増悪を認め、CR9による遺伝子発現制御は心不全発症予防に必須であることも示唆された。CR9による転写制御機構やヒト不全心におけるCR9の機能は未だに不明であり、本研究においてCR9転写制御機構の更なる解明を行う。遺伝子治療応用への可能性を探ることを目的とした。また、近年AAVベクターを用いた遺伝子補充療法の開発と臨床応用が活発になったが、心疾患に対しては心筋組織に取り込まれるAAVのゲノムコピー数が少ないことにより有効性を示せていない(CUPID2試験)。そこで本研究では心不全応答性エンハンサークラスターを用いて心臓特異性と心不全応答性を高めた精密遺伝子治療の開発を試みる。 当該年度では、CR9転写制御機構の解明のためにWTマウス及びCR9ノックアウトマウスのクロマチン修飾解析を行い、CR9を含むエンハンサークラスターを同定した。来年度において、遺伝子治療への応用に取り組み予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通り、エンハンサークラスターを同定できており、順調に研究は進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度において、エンハンサークラスターを組込んだ遺伝子治療用ベクターを作製し、本研究を達成したいと考えている。
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Causes of Carryover |
本年度はエンハンサークラスター解析が順調に進み、予定よりも少ない試薬・動物の使用で目標を達成することが可能であった。次年度では遺伝子治療開発のためのAAVベクター作製に多額の費用がかかることが予想されるため、次年度に残額を使用する予定である。
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