2023 Fiscal Year Research-status Report
肺由来コンポジットマテリアルによる多能性幹細胞から肺オルガノイドの創出と機能解析
Project/Area Number |
22K08236
|
Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
北村 知嵩 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (00882044)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
王寺 幸輝 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (50343421)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 肺オルガノイド / 脱細胞 / 細胞外マトリックス / 3次元培養 / 胚性幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
脱細胞化組織は生体組織から主に細胞成分を除去した組織であるため、細胞外マトリックス(EM)を豊富に含んでいる。これまでに、肺のEMは気道分岐や細胞分化の制御において重要な役割を担っていることが報告されている。そこで、本研究では肺由来脱細胞化組織(LEM)をシート状に加工したLEM-sheet(LEMS)を作成し、LEMSによりマウスES細胞から肺オルガノイドの誘導とキャラクタライゼーションを行うことを目的とした。 初年度(令和4年)、マウス肺からLEMを調製し、細切加工したLEMSを用いてマウスES細胞の分化誘導を行った結果、各種肺細胞マーカーの発現亢進を認めた。そこで、本年度(令和5年度)は、その分化メカニズムを解析するため、NGS解析を中心に行った。その結果、LEMSにより誘導されたオルガノイドは、肺の発生や細胞分化に関わる遺伝子群の顕著な発現亢進を認めた。現在、それらの遺伝子群に関して、特に、EM関連遺伝子に着目し、解析を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に基づき、遺伝子発現解析および免疫組織学的解析を行い、肺細胞の分化誘導に関してLEMSの有用性が示されたため。またNGSを用いた遺伝子発現についても現在、解析を進めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
NGS解析の結果、肺の発生、分化に関連した遺伝子群の発現亢進が明らかとなっており、より詳細な解析を行う予定である。また、これまでの実験方法で誘導されたオルガノイドの機能的評価も予定している。さらに、LEMSとマウス胎児由来肺細胞との共培養により、更なる効率的な分化誘導も検討する予定である。
|
Causes of Carryover |
(理由)本研究計画の2、3年目において、NGS解析などの受託研究費および各種抗体などの購入費用の発生が予想された。本年度は、主に消耗品(培養液、培養用プラスチック器具、一般試薬等)の購入に研究費を使用したが、終盤にかけてNGS解析を実施することが出来た。更なる解析として、NGS解析を追加利用する必要もあるため、必要最低限の量を計画的に購入し、繰越金を捻出した。 (使用計画)今年度の使用計画としては、繰越金を合算して、追加実験にNGS解析などを用いた更なる解析を行いつつ、初年度に購入した消耗品を継続して使用することや実験に必要な物品を計画的に購入することで研究を遂行する予定である。
|