2023 Fiscal Year Research-status Report
Roles of tryptophan metabolism-related enzymes and those metabolites in antibody-mediated glomerulonephritis
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22K08344
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
坪井 直毅 藤田医科大学, 医学部, 教授 (50566958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 康子 藤田医科大学, 保健学研究科, 准教授 (00331869)
水野 智博 藤田医科大学, 医学部, 准教授 (40711669)
高橋 和男 藤田医科大学, 医学部, 教授 (90631391)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 糸球体腎炎 / アミノ酸代謝 / 遺伝子欠損マウス / トリプトファン / マクロファージ / 好中球 |
Outline of Annual Research Achievements |
①『IDOによるTRP代謝経路下流に位置するKMOの欠損マウス(KMOKO)を用いた抗体型糸球体腎炎の表現系解析』:トリプトファン(Tryptophan; TRP)は神経伝達物質であるセロトニンやミトコンドリア内エネルギー産生反応補因子nicotinamide adenine dinucleotide(NAD)の合成に関与する必須アミノ酸であり、Indoleamine 2,3-deoxigenase (IDO)はその代謝酵素として機能する。我々は抗体型糸球体腎炎モデルを2種のTRP代謝酵素欠損マウス(C57 BL/6背景IDO1KO,IDO2KO)に導入し、野生型マウス(WT)と比べIDO1KOにおいてのみ、腎糸球体障害が増悪することを前年度に確認している。本年度は、TRP代謝経路下流に位置するKMOの欠損マウス(KMOKO)を用いた抗体型糸球体腎炎の表現系解析を実施した。 ②『KYN代謝酵素欠損マウスの抗体型腎炎表現系解析とキヌレン酸(KYNA)腹腔内投与による治療効果検討』:IDO1欠損マウス、KMO欠損マウスでのNTS-GNモデルの表現系が、それぞれIDO1KOマウスでのKYNA低下、KMOKOマウスでのKYNA上昇に関連すると考え、KYNA投与によるNTS-GN治療実験を実施した。 ③『TRP代謝最下流で機能する酵素欠損マウスにおける抗体型腎炎の表現型解析』:QPRTはTRPからNADに至る代謝経路の最下流で機能する酵素である。QPRT遺伝子欠損マウス(QPRTKO)の系統繁殖に難渋しており、動物実験は次年度の課題とした。 ④『TRP代謝関連酵素欠損白血球の炎症刺激によるin vitro表現型解析』:免疫複合体刺激による好中球形態変化を、IDO2KOマウス、KMOKOマウス、およびKYNA添加の各条件下に評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は以下の知見が得られた。 ①KMOKOではNTS-GN惹起後の14日目における半月体形成率がWTと比べ有意に低下する(0.82% vs 8.67%, p=0.012)という表現系を確定できた。一方で、NTS-GNのもう一つの組織学的所見である糸球体内皮下沈着物の割合、腎障害マーカーとしての血清Cr、BUN、尿蛋白の値にはWTと有意な差を認めなかった。 ②KANAの直接的な腎糸球体障害への影響を見るため、IDO1KOを用いKYNAの投与実験を行った。NTS-GNを惹起したIDO1KOにKYNAを一日おきに腹腔内投与し14日目まで観察したところ、PBSを腹腔内投与した対照群と比べ有意に高い生存率を認めた(Log rank test; p=0.015)。また、すべてのマウスが生存する7日目における腎機能障害を比較すると、KYNA投与群において血清Cr 、BUN、尿蛋白ともに有意な改善が認められ、また腎組織所見においても、糸球体における半月体形成率低下が認められた。 ④マウス由来好中球をBSA-BSA抗体の免疫複合体上でFcγレセプターを介し活性化させ、好中球の形態変化をOperaphenixを用いて定量的に評価した。IDO1KO由来好中球はWT由来好中球と比べ、免疫複合体による刺激により、時間経過に伴って有意に細胞面積が増加し、またアクチンフィラメントがperipheralに広がるSpread cellの割合が増加した。KMOKOではそれぞれの割合が少ない傾向がみられたが、有意な差は確認できなかった。IDO1KOにKYNAを添加し同様の観察を行ったところ、IDO1KO由来好中球はWT由来好中球に近い挙動を示した。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度はQPRTKOの系統繁殖を軌道にのせ、NTS-GNモデルを作成し表現系を検討する。QPRTKOはホモで生存率が極端に低い印象があり、ヘテロの個体を用いた実験も検討している。さらに、NTS-GNを惹起した個体にClodronate-liposomeを使用しMφを除去した場合における表現型のin vivo解析、NTS-GN を惹起したIDO1KO、KMOKO、WTマウス腎におけるKYNAを含むTRP代謝物濃度の測定も計画している。TRP代謝関連酵素とマクロファージ分化との関連解析に関して、IDO1,2, KMO, QPRTの各KO,およびWT骨髄由来MφをIFNγ/LPS、IL4/IL10刺激下に、炎症性M1、免疫制御性M2Mφへ分化培養し、細胞内因子や表面抗原マーカーをFCMで解析する。実験結果がまとまり次第、論文作成に着手する。
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