2022 Fiscal Year Research-status Report
Role of NMN transporter in distal-proximal tubule interplay
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22K08354
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
長谷川 一宏 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 准教授 (30424162)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | NMN |
Outline of Annual Research Achievements |
透析の最大の原疾患である糖尿病性腎症(Diabetic Nephopathy, DN)は、透析のみならず、心血管合併症を引き起こし、生命予後を不良にするばかりか、これらの治療に要する医療費を増大させるため、社会的悪影響が大きい。糖尿病性腎症は、今もって糖尿病や高血圧への治療が中心であり、腎そのものへの有効な治療法は今もって存在しないことが、増え続ける一方の患者数と医療費増大に歯止めが利かない理由である。研究代表者は、長寿遺伝子でNAD 依存性脱アセチル化酵素であるSirt1の研究を進め、糖尿病性腎症で、近位尿細管Sirt1 が低下、Sirt1由来の液性因子NMN(Nicotinamide Mononucleotide)がポドサイトに至れず、機能不全を起こす事を報告し、研究代表者は、近位尿細管(Proximal Tubules, PT)のSirt1のDNにおける意義を明らかにした(Nat Med 2013,日本腎臓学会 大島賞等)。
Sirt1低下に続き、NMN産生酵素Nampt(nicotinamide phosphoribosyl transferase)が低下し、NMNが減少する事を研究代表者は見出していたが、Nampt低下の近位尿細管での機能や発現制御機構については不明であり、これらを解明する研究を継続している。まず、その機能については論文報告を完了(Cell Reports 2019)した。Namptが低下するとTIMP1が上昇し、これによりMMPが低下するためと考えられるが糖尿病性腎症で尿細管基底膜、糸球体基底膜の肥厚や糸球体硬化の重要な細胞外マトリックスである4型コラーゲン増生が認められることを明らかにした。更に、NMN投与がDNの尿蛋白(JASN 2021)のみならずFSGSの尿蛋白をも抑止(Sci Rep 2022)した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NMN受容体が種保存的に遠位尿細管に局在する予備検討結果を得ており遠位尿細管特異的欠損マウスをflox/Creシステムで作成し、特に糖尿病性腎症について、病態悪化の有無を検討したい。また、そのうえで、NMN受容体過剰発現マウスを新規に作成し、病態抑止効果があるか検討したい。遠位尿細管特異的プロモーターTHP( Tamm Horsfall Protein)Creは以前の研究にて使用したこともあり、当研究室にて既に保有している。これを交配に使用し、新規にNMN受容体 floxマウスを作成しており、おおむね順当に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
糖尿病性腎症でのNMN受容体増加がヒト腎生検でも遠位尿細管に見られるか、臨床パラメータとの相関含め解析する。Sglt2が糖尿病性腎症の近位尿細管で代償的増加するように、NMN受容体代償的増加が起こるのか、それは遠位なのか、意義を含め解明する。糖尿病性腎症に対する遠位尿細管への治療介入の新研究を創設する。 NMN受容体アゴニスト、賦活体の同定として、HTS,DEL技術からNMN受容体アゴニストの同定を目指す。糖尿病性腎症の、研究代表者が提唱した尿細管糸球体連関ではNMN分泌低下は近位尿細管に初発する。NMN受容体は遠位尿細管に局在するため、NMN量低下を近位尿細管に伝達する遠位-近位NMN再吸収連関を仲介するメカニズムも同定していきたい。
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Research Products
(5 results)