2022 Fiscal Year Research-status Report
エイコサペンタエン酸のTGF-β1抑制作用に着目したリンパ浮腫薬物療法の開発
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22K08378
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
佐野 真規 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (40733514)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 健 浜松医科大学, 医学部, 技術専門員 (20397433)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | リンパ浮腫 / 皮膚硬化 / エイコサペンタエン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
12週齢オスSprague-Dawleyラットの下肢を用いてリンパ浮腫モデルを作成した。コントロール群、リンパ浮腫群、リンパ浮腫エイコサペンタエン酸投与群を作成し、術後6か月まで大腿部の皮膚を採取した。病理学的検証、real time PCR解析、超音波顕微鏡、蛍光リンパ管造影等を行い、エイコサペンタエン酸の治療効果を検証した(in vivo 実験)。リンパ浮腫エイコサペンタエン酸投与群では、リンパ浮腫群に比べ、TGF-β1産生抑制、コラーゲン産生抑制、皮膚硬度の減少を認め、皮膚硬化が改善していると考えられた。さらに、皮下脂肪細胞減少、皮下リンパ管増加、リンパ還流改善、等も認められた。エイコサペンタエン酸によるTGF-β1産生抑制がこれらの改善効果をもたらしたと考えられるが、その作用機序、および、TGF-β1シグナル伝達経路への抑制効果について、特にSMAD経路に着目している。SMAD2・3経路の抑制、さらにはリンパ管内皮細胞の上皮間葉転換が、エイコサペンタエン酸により抑制されていると考えられる結果が得られた。より深い検証を現在遂行中である。 また、ラットモデルから採取した線維芽細胞培地中にエイコサペンタエン酸を添加し、治療効果を検証した(in vitro 実験)。添加により、線維芽細胞からのTGF-β1やコラーゲン産生は減少した。しかし、線維芽細胞の形態には変化を認めなかった。今後さらに、リンパ管内皮細胞へのエイコサペンタエン酸添加による、内皮間葉転換抑制効果についての検証を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた実験計画に沿って、概ね順調に進展している。だが、コロナ禍の影響により薬品の納入等に以前より時間がかかることがある。
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Strategy for Future Research Activity |
エイコサペンタエン酸の治療効果について、さらなる検証を行っている。とくに、リンパ管内皮細胞への影響に着目し基礎研究を進めている。また、今後、ヒトを対象とした臨床研究を計画し進めていく。
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Causes of Carryover |
研究の進行状況により変更が必要と判断した。
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Research Products
(7 results)