2022 Fiscal Year Research-status Report
粘膜悪性型HPV感染による爪部ボーエン病発症機序と新たなHPV感染経路の解明
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22K08394
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
清水 晶 金沢医科大学, 医学部, 教授 (70396638)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 爪部ボーエン病 / ヒト乳頭腫ウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
<新たな検出システムによる様々なHPV関連内臓癌におけるHPV感染経路の解明>新たなHPV検出システムを開発中である。当院産科婦人科と共同で、新規のHPV検出用プライマーを作成し、臨床検体で使用できることを確認した。新規プライマーはHPVL1領域に位置し、主にβ属のHPVを検出する。これまでの複数のプライマーを組み合わせることで、爪部Bowen病を始めとした皮膚腫瘍に関連するHPVを広範囲に検出できる。HPVを効率よく検出することは本研究ににおいて重要なステップであり、大きな進展である。 <爪部におけるHPV感染状態:爪表面のHPV産生量>爪部ボーエン病の粘膜悪性型HPV感染拡大における影響を調べるため、爪表面を擦過し、PCRにより粘膜悪性型HPVをを検出することができた。爪部Bowen病は切除すると爪の再生が困難であり、非侵襲的なHPV検出が望まれてきた。今後症例を蓄積し、表面擦過物によるPCRで爪部Bowen病をウイルス学的に診断することが可能になると思われる。 <様々なHPV関連内臓癌におけるHPV感染>金沢医科大学形成外科、産婦人科と共同研究体制を築くことができた。今後は必要な倫理申請を行い、泌尿器科、頭頚部外科、消化器外科とも共同研究体制を作り、HPV関連癌を収集しHPVタイピングを行う。これにより爪部ボーエン病と感染HPVを比較し、爪部と同様の感染プロファイルの内臓癌を探索し感染ルートを予想する。なお、当初予定していた爪部Bowen病の臨床検体を用いた解析については、現在倫理申請、研究体制の準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床検体からHPVを検出する新規プライマーを産婦人科学教室と共同で作成した。これらの成果をHPV国際学会で口演発表した(International papillomavirus conference)。また爪部ボーエン病における表面擦過産物からのHPV検出も順調に進行しており、成果を同じくHPV国際学会でポスター発表した。シングルセル解析や検体における幹細胞の同定などは、倫理承認を得てから行う。現在は必要な試薬と研究体制を準備しており、順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
得られた研究成果は英文雑誌に報告する予定である。倫理申請承認を待ち、爪部におけるHPV感染の詳細と幹細胞との関連を明らかにする。次年度から大学院生も入学し研究体制も確立されるため、今後の成果が期待できる。
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Causes of Carryover |
倫理承認が必要な研究内容があり、予定していた様々な免疫染色を行わず未使用額が生じた。次年度では免疫染色やsingle cell解析などの準備に使用する予定である。
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