2022 Fiscal Year Research-status Report
アトピー性皮膚炎の痒み過敏発生機序の解明:IL-31と好塩基球による末梢神経変容
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22K08395
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
端本 宇志 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 皮膚科学, 准教授 (00647844)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 痒み / 好塩基球 / マクロファージ / 末梢神経 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度では、ヒトのアトピー性皮膚炎の痒みにおけるIL-31の産生源として、従来考えられていたT細胞だけではなく、マクロファージも重要な産生源であることを示した。さらに、このマクロファージからのIL-31の産生には、病変部に浸潤した好塩基球が極めて重要であることを示した。マウスのアトピー性日右辺モデルにおいてもマクロファージ由来のIL-31が痒みに重要であり、好塩基球を除去するとマクロファージからのIL-31の産生が効率的に行われないことを示した。この成果は論文として報告した。 さらに、アトピー性皮膚炎においてよく合併する疾患である結節性痒疹では、病変部に好塩基球が多数浸潤する。病変部においては、mechanical itchの一種であるpunctate hyperknesisが見られること、病変部ではIL-4、IL-13といった2型炎症に関わるサイトカインの発現が増強し、痒み関連サイトカインであるIL-31の発現も増強していることを示した。結節性痒疹では表皮内神経の減少が知られており、表皮内神経の変容と2型免疫応答、さらに痒みについての関連が示唆された。 さらに、ヒトアトピー性皮膚炎では実際にmechanical itch、とくにpunctate hyperknesisが出現する。病変部では表皮内神経の減少とIL-4、IL-13の発現増強はすでに知られているが、IL-4とIL-13のシグナルを阻害するデュピルマブを投与することで、punctate hyperknesisが改善することも示し、論文化した。 上記のように、mechanical itchや好塩基球に関する痒みの新規知見が得られている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
重要な成果が明らかとなり、それを論文として報告できた。これによって、当初計画していた研究進捗計画が十分に遂行できていると考えられるため。
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Strategy for Future Research Activity |
さらに動物実験ならびにヒト検体を用いて、mechanical itchと好塩基球、末梢神経の関連を探索していく。
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Causes of Carryover |
研究が順調にすすみ、使用物品が少なく済んだため、購入量が減ったため。 また、投稿中の論文の出版料を当初は計上していたが、出版が遅れて次年度に支払いをするため。 ただし、次年度に予定されている実験に必要な物品の購入で充当される予定である。
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