2023 Fiscal Year Research-status Report
Phf6およびPhipによる骨髄ニッチを介した造血幹細胞制御機構の解明
Project/Area Number |
22K08477
|
Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
加藤 裕子 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 助教 (00470336)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 造血幹細胞ニッチの減少 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、Phf6の骨髄微小環境における役割を明らかにするため、骨髄間質細胞で広範にCre recombinase を発現するPrx1-Creを用いたコンディショナルノックアウトマウスPrx1-Cre;Phf6f/yマウスを作製した。 Prx1-Cre;Phf6f/yマウスは正常に生まれた。14ヶ月齢における体重測定の結果、ノックアウトマウスはコントロールマウスと比較して増加傾向にあるものの、有意差は認められなかった。6ヶ月齢および14ヶ月齢においてそれぞれ、末梢血液細胞数の計測を行なった結果、白血球、赤血球、ヘマトクリット、血小板について、コントロールマウスとコンディショナルノックアウトマウス間に有意差はなかった。14カ月齢のマウスにおいて、骨髄切片のH E染色およびマイクロCTによる骨構造解析を行なったが、骨梁や脂肪量に大きな差異は認められなかった。骨髄細胞中の造血幹細胞ニッチを構成するLepR+MSC(CD45-Ter119- Sca1-CD31-LepR+)細胞数についてフローサイトメトリーにより解析したところ、ノックアウトマウスではコントロールマウスと比較して有意に減少していることが示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Prx1-Cre;Phf6f/yマウスについては、繁殖を行い解析に十分な匹数が得られたので解析を開始している。造血支持能細胞であるLepR+MSCの絶対数が有意に減少することが示されたので、今後の研究の方向性が定まってきた。
|
Strategy for Future Research Activity |
Prx1-Cre;Phf6f/yマウスで示された骨髄中のLepR+MSCの減少について、再現性があることを確認する。再現性を確認できた場合には、その詳細な分子機構について解析する。LepR+MSC をセルソーターにより分取し、in vitro での自己複製能と分化多能性を検 証する。 Prx1-Cre;Phf6f/yマウスに抗がん剤投与を行い強制的に骨髄破壊後、骨髄中の間質細胞および血液細胞を再構築できるかを検討する。 Prx1-Cre;Phip f/yマウスの骨髄中における造血幹細胞、前駆細胞、成熟細胞についてフローサイトメトリーを用いて詳細に解析を行い、骨髄微小環境におけるPhf6欠損が血液細胞の分化および増殖に与える影響について検証する。Prx1-Cre;Phf6 f/yをレシピエントとして正常骨髄細胞や HSC の移植実験を行い、 LepR-Cre;Phf6 f/y の造血支持能力を検討する。
|
Causes of Carryover |
動物飼育施設に新規導入予定であったX線照射装置が、未だ導入されていないため、移植実験ができなかった。次年度にX線照射装置が導入され次第、移植実験を行う予定である。ドナーマウス、レシピエントマウス、移植後のフローサイトメトリー解析に使用する抗体を購入する予定である。
|