2022 Fiscal Year Research-status Report
Klebsiella variicola感染症の臨床像と遺伝学的特徴に関する研究
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22K08576
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
原田 壮平 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (30591630)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | Klebsiella variicola / 血流感染症 / 全ゲノム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の遂行において、MALDI-TOFによるKlebsiella variicolaの菌種同定の正確性が高いことが前提となるため、その検証を行った。東京大学医学部附属病院において2019年1月から2021年11月に血液培養から検出され、MALDI-TOF(MALDI Biotyper)でKlebsiella pneumoniaeあるいはK. variicolaと同定された83株を用いて検討したところ、MALDI BiotyperによるK. vaciicola(26株)の同定は、library version 9を用いることにより、遺伝学的な同定法(Multiplex PCRあるいは全ゲノム解析)と同等の精度が得られることを確認した(PMID: 36125293)。また、webツール(MALDI TypeR)の併用により、K. pneumoniaeのその他の類縁種や亜種の同定が可能であることも確認した。 続いて、2010年から2018年に東京大学医学部附属病院で血液培養から検出されK. pneumoniaeと同定された452株について、MALDI Biotyper(library version 9)およびMALDI TypeRによる菌種同定を実施し、77株のK. variicola菌株を得た。これらのうち27株についてMiSeq(illumina)を用いた全ゲノム解析を実施し、これらすべての菌株がK. variicola subsp. variicolaであることを確認した。また、multilocus sequence typingによりこれらの菌株の遺伝学的背景は多様であることを確認するとともに、2株がK. pneumoniaeの高病原性と関連するとされる高粘稠性関連遺伝子(rmpA)やシデロフォア関連遺伝子(iro, ybt)を保有していたことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画していた多施設臨床研究の倫理委員会承認が現在まで得られていない点は計画から遅れている点である。一方で、研究課題の遂行の前提となる解析は完了の上で論文発表し、また、多施設臨床研究の自施設の菌株解析部分については患者個人情報に触れない形で一部先行実施し、完遂した。
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Strategy for Future Research Activity |
多施設臨床研究について倫理委員会の承認を得た上で、患者情報の収集を行い、その結果も踏まえた上でK. variicolaの全ゲノム解析の追加対象株を選定、実施する。
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Causes of Carryover |
多施設研究の倫理委員会承認が未取得であるため、計画していた解析対象菌株の収集が部分的にしか達成されなかったため、次年度使用額が生じた。次年度において、多施設研究の倫理委員会承認取得後に実施する追加解析対象菌株の遺伝子解析にこの金額を使用する。
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Research Products
(2 results)