2023 Fiscal Year Research-status Report
Klebsiella variicola感染症の臨床像と遺伝学的特徴に関する研究
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22K08576
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
原田 壮平 東邦大学, 医学部, 准教授 (30591630)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | Klebsiella variicola / K. quasipneumoniae / 血流感染症 / 全ゲノム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年8月の研究代表者の異動に伴い当初予定していたKlebsiella variicola血流感染症を対象とした多施設研究の実施が困難となったため、予定を変更し、Klebsiella variicola血流感染症および類縁種であるKlebsiella quasipneumoniae血流感染症を対象とした東京大学医学部附属病院における単施設研究に研究計画を変更した。 2010年から2018年に東京大学医学部附属病院で血液培養から検出されK. pneumoniaeと同定された452株について、MALDI-TOF MSおよびMultiplex PCRによる菌種同定を実施し、77株のK. variicola菌株および31株のK. quasipneumoniae菌株を得た。これらのうちK. variicola 62株、K. quasipneumoniae 30株についてMiSeq(illumina)を用いた全ゲノム解析を実施した。K. variicolaについて、multilocus sequence typingによりこれらの菌株の遺伝学的背景は多様であることを確認するとともに、2株がK. pneumoniaeの高病原性と関連するとされる高粘稠性関連遺伝子(rmpA)やシデロフォア関連遺伝子(iro, ybt)を保有していたことを確認した。K. quasipneumoniaeについてK. quasipneumoniae subsp. quasipneumoniaeに属する菌株とK. quasipneumoniae subsp. similipneumoniaeに属する菌株が混在することやK. pneumoniaeにおいて高病原性との関連が高い莢膜遺伝子型を有する株が一部に存在することを確認した。 臨床研究部分については、研究計画を作成し、倫理委員会での審査を受けている状況である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究代表者の異動に伴い当初予定していた多施設研究の実施が困難となり、対象菌種を拡げる形での単施設研究に計画を変更した。計画変更と、変更した計画の倫理委員会申請のために現在まで、研究のうちの臨床研究部分が進んでいないため、全体としても遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
K. variicola菌株およびK. quasipneumoniae菌株について、残りの16株の全ゲノム解析(MiSeq)を速やかに完遂し、全体でのデータ検討を行う。特徴のあるクローンについて、long-read sequencer(MinION)による全ゲノム解析を加えて、hybrid assemblyによる完全ゲノム解析を行い、重要遺伝子の遺伝子周辺環境を明らかにする。また、倫理委員会での承認が得られ次第、血流感染症患者の臨床情報を収集し、菌株の遺伝学的情報と統合的に解析する。
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Causes of Carryover |
研究代表者の異動に伴い当初予定していた多施設研究の実施が困難となり、対象菌種を拡げる形での単施設研究に計画を変更した。計画変更と、変更した計画の倫理委員会申請のために計画していた解析の実施が遅れたため、次年度使用額が生じた。遅れた内容を次年度に実施することで次年度使用額分を用いる予定である。
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