2023 Fiscal Year Research-status Report
シングルセル解析によるB型肝炎持続感染に関わる新規宿主因子の同定および創薬研究
Project/Area Number |
22K08579
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
靭 千恵 神戸大学, 保健学研究科, 講師 (50570834)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | HBV / 維持感染 / cccDNA / 天然物 |
Outline of Annual Research Achievements |
B型肝炎ウイルス(HBV)の持続感染は肝がんの発生リスクとなっているが、現在の慢性B型肝炎に対する治療法ではHBVの完全排除は困難な状況である。そこで、本研究は、B型肝炎の持続感染に重要な新規宿主遺伝子を同定しその機能を明らかにするとともに、インドネシア薬用植物含む天然物資源からcccDNAを標的とした新規抗HBV物質を同定することを目的とする。(1)NTCP受容体を発現するHuh7-NTCP細胞を、4%正常ヒト血清を含む培地で培養したところ、約2週間で増殖が停止し、4週間まで維持されていた。21日間培養した細胞が、肝細胞に近い代謝活性を有するのかを肝分化マーカー遺伝子(AFP, ALB, CYP3A4, HNF, UGT1A1)の発現をリアルタイム定量PCRで確認したところ、ALB, CYP3A4, UGT1A1のmRNA発現量が10%ウシ血清で培養した細胞と比べ2から10倍増加していた。この21日目の細胞にHBVを感染させ、感染14日後の細胞内HBV RNA量を調べたところ、10%ウシ血清で培養した通常細胞に比べ4倍程度増加していた。(2)真菌由来の化合物から、cccDNA形成を抑える活性がある天然物を同定した。この化合物はC型肝炎ウイルスのRNA複製も抑えることがわかった。現在、作用点の詳細な解析を行なっている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Huh7-NTCP細胞を、4%正常ヒト血清を含む培地で培養したところ、約2週間で増殖の停止が見られ、その後4週間まで維持されていたため、肝分化マーカー遺伝子の発現解析や、HBV感染性の評価を行ったが、それほど高い感染性が見られなかったため、この条件ではHBV感染維持に関わる宿主遺伝子のRNAseq解析には最適ではないことがわかり現在、別の細胞を検討しているため、予定が遅れている。一方、天然物からcccDNAを阻害する物質の探索に関しては、真菌由来の新たな物質を同定しており、予定通り作用機序解析を進めていく。
|
Strategy for Future Research Activity |
薬剤処理によりHBVを同調・複製させる別の細胞システムで、cccDNA形成細胞と未形成細胞間のRNAseq解析を行なっていく。真菌由来の化合物に関しては、HBV複製やHBV抗原マーカーへの影響も検討しながら、cccDNA発現抑制の作用機序について明らかにしていく。
|
Causes of Carryover |
RNAトランスクリプトーム解析を2年目で行う予定でいたが計画が遅れているため、次年度に行う予定でいる。
|
-
-
-
[Journal Article] Identification of an Oligostilbene, Vaticanol B, from Dryobalanops aromatica Leaves as an Antiviral Compound against the Hepatitis C Virus.2023
Author(s)
Aoki-Utsubo C, Hanafi M, Armanti DT, Fuchino H, Kawahara N, Hartati S, Widyawaruyanti A, Sudarmono P, Kameoka M, Hotta H.
-
Journal Title
Biol. Phar. Bull.
Volume: 46(8)
Pages: 1079-1087
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
-