2023 Fiscal Year Research-status Report
新規モデルマウスを用いたアスペルギローマ排除機構の解明および薬物動態の解析
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22K08601
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
田代 将人 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 講師 (20713457)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | アスペルギローマ / 動物モデル / 病態 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、アメリカ合衆国のHarbor-UCLA Medical CenterのScott G. Fillerのラボで、マクロファージに対するAspergillus fumigatus死菌糸の影響をin vitroで評価した。Chromium (51Cr) release assayとXTT assayの2種類のダメージアッセイを用い、アスペルギルスの死菌糸がRAWマクロファージ細胞株にダメージを与えることを確認した。ダメージの原因を探るため、366種類の転写因子欠損株ライブラリーを用いて、ダメージアッセイによるスクリーニングを行った。その結果、ダメージが減少する株は見いだせず、ダメージの原因はより普遍的な現象と推測された。さらにアスペルギローマの排除を担うマクロファージの性質の解明を試みた。菌球周囲のIba1陽性マクロファージは、菌球留置後0週:0.02%、1-4週:3.5%、8-16週:7.5%と経時的に上昇した(p = 0.0021)。Iba1陽性マクロファージは好中球と異なり菌球内部へは浸潤しなかった。菌球周囲に集簇したマクロファージは3ヶ月間の慢性の経過で泡沫化し、GMS染色では泡沫細胞内にアスペルギルスの残骸と思われるデブリが観察された。泡沫細胞内はOil-red O染色陽性で、泡沫細胞内部に脂質が充満していることを確認した。Oil-red O染色陽性面積は、菌球留置2週間後:0.09%、14週間後0.37%と経時的に上昇した(p = 0.029)。アスペルギローマ周囲の泡沫細胞はIba1とPU.1に陽性で、F4/80、CD163、CD206に陰性であった。一方で周囲組織内の常在マクロファージはすべてのマーカーで陽性であった。これらの結果は、菌球周囲に集簇したマクロファージは、組織内の常在マクロファージと異なることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アスペルギローマ周囲の炎症細胞の解析について、おおむね順調に研究が進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度も引き続き、アスペルギローマ周囲の組織変化について解析を進め、アスペルギローマへの抗真菌薬移行生の研究も進めていく。2024年度は本研究の最終年度として、研究成果の論文発表を目指している。
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Research Products
(4 results)