2022 Fiscal Year Research-status Report
TLR4を標的とした新規免疫賦活効果の分子基盤の解明と感染症予防への応用
Project/Area Number |
22K08611
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
乾 匡範 愛知医科大学, 医学部, 講師 (80443985)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | TLR4 |
Outline of Annual Research Achievements |
抗TLR4抗体(Sa15-21)はマウス劇症肝炎モデルにおいて,組織ダメージを著しく減弱させるにも拘わらず,炎症性サイトカインを急激に上昇させるというユニークな特徴をもつ抗体である。申請者の先行研究によりSa15-21抗体が既存のTLRリガンドとは異なる性質の刺激を導入し,マクロファージを潜在的活性化状態に変化させることを発見した。本研究ではTLR4を標的としたマクロファージの性状変化,さらに細胞保護的な効果と免疫賦活効果を同時に導入することのできる分子基盤を解明し,感染症に対する新たな免疫賦活剤としての可能性を評価することを目指している。 本年度の研究では,Sa15-21での前刺激が骨髄誘導マクロファージにおいてLPS刺激後の炎症性サイトカインであるIL-6やTNF-aなどの産生を亢進させること,一方で抗炎症性サイトカインであるIL-10の産生を減弱させることを発見した。またこの炎症性サイトカイン産生の亢進は別の抗TLR4抗体であるMTS510での前刺激では認められないことを確認した。この現象はSa15-21の濃度依存的であることも確認している。しかしながら,Sa15-21抗体での前刺激の有無によるLPS刺激後のシグナル分子の活性化(ERK, p38, JNK, NF-kB)を見い出すことができなかった。このようにSa15-21がマクロファージの極性をM1型に偏向させる可能性を見い出している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究では,Sa15-21が骨髄誘導マクロファージにおいてLPS刺激後の炎症性サイトカインであるIL-6やTNF-aなどの産生を亢進させること,一方で抗炎症性サイトカインであるIL-10の産生を減弱させることを発見した。このようにSa15-21がマクロファージの極性をM1型に偏向させる可能性を見い出している。次年度では,さらにSa15-21によるTLR4を標的としたマクロファージの性状変化の分子基盤を解明することを目指し,網羅的な遺伝子発現解析を中心に取り組む予定である。
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Causes of Carryover |
おおむね順調に遂行しているので問題はない。
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Research Products
(1 results)