2023 Fiscal Year Research-status Report
新規動物モデルを用いた脂肪組織リモデリング機構の解明
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22K08641
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岡松 優子 北海道大学, 獣医学研究院, 教授 (90527178)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 褐色脂肪 / 組織リモデリング / 白色脂肪 / ハムスター / 細胞骨格タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
食の欧米化や運動不足などライフスタイルの変化に伴う肥満症とそれに起因する糖尿病や脂肪肝などの生活習慣病の増加が問題となっている。肥満対策法としてエネルギーを熱として散逸する褐色脂肪が関心を集めているが, ヒト褐色脂肪は加齢に伴い退縮するため増量する方法を明らかにする必要がある。本研究では,白色脂肪を褐色脂肪に転換させるハムスターをモデルとして用い, 組織リモデリング機構の分子基盤を解明することを目的とした。 前年度に、脂肪組織リモデリングにおける細胞骨格タンパク質の役割について検討を行い、1) ハムスターにおいて、発達期に白色脂肪組織が褐色脂肪組織に転換する過程で細胞骨格タンパク質のリン酸化が誘導されること、2) マウスに寒冷刺激を与えると、褐色脂肪組織において細胞骨格タンパク質がリン酸化され、数日にわたり持続することを見出した。 今年度は、マウスにおいてどの細胞群で細胞骨格タンパク質のリン酸化が起きるのかを調べた。ベータ3アドレナリン受容体作動薬を投与すると、細胞骨格タンパク質のリン酸化は認められなかったことから、ベータ3アドレナリンを発現しない非脂肪細胞群でリン酸化されることが示唆された。in vitroおよびin vivo実験により、血小板由来成長因子(PDGF)シグナルの下流で細胞骨格タンパク質がリン酸化されることが示唆された。PDGF受容体の組織免疫染色が困難だったため、タモキシフェン誘導性にPDGF受容体発現細胞を蛍光ラベルできるマウスを準備した。また、細胞骨格タンパク質を欠損するマウスおよび、リン酸化部位の変異マウスを作出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脂肪組織リモデリングにおける細胞骨格タンパク質の役割を直接解析するためのマウス実験系の準備が完了したため、解析に向け順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
組織リモデリングにおける細胞骨格タンパク質のリン酸化の役割を明らかにするために、前年度作出した欠損マウスおよびリン酸部位の変異マウスを用いて、寒冷暴露時の脂肪組織の変化について検討を行う。また細胞骨格タンパク質がリン酸化される細胞種を明らかにするために、前年度準備したPDGF受容体発現細胞で蛍光タンパク質を発現するマウスを用いて検討を進める。ハムスターにおいて、脂肪組織の白色から褐色への転換における血管新生の役割について興味深い結果が得られたため、補助データを追加して原著論文としての公開を目指す。
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