2023 Fiscal Year Research-status Report
リン酸化プロテオミクスによる膵切除後膵β細胞増殖機構の解明
Project/Area Number |
22K08659
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
富樫 優 横浜市立大学, 医学部, 講師 (10710444)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
京原 麻由 横浜市立大学, 附属病院, 助教 (20828545)
寺内 康夫 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (40359609)
奥山 朋子 横浜市立大学, 医学部, 助教 (90806928)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 膵β細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
膵部分切除またはSham手術後3日目に単離したマウス膵島の定量的プロテオーム解析およびリン酸化プロテオーム解析を行い、それぞれの解析により得られた膵切除により変化する蛋白群およびリン酸化蛋白群をIngenuity pathway analysis (IPA) softwareを用いて解析を行った。 定量的プロテオームで得られた発現が変化した蛋白群について上流シグナル解析を行った結果、活性化が予測される調節因子として、1,2-dithiol-3-thione、3,5-dihydroxyphenylglycine、MYC、MYCL、BDNF、EGFR、MLXIPLが同定された。1,2-dithiol-3-thioneはH2Sドナーであり、内因性H2Sは抗酸化作用、細胞周期促進を有する。3,5-dihydroxyphenylglycineはグループⅠ代謝型グルタミン酸受容体選択的アゴニストであり、膵β細胞においてインスリン分泌を増加させることが報告されている。MYCは細胞増殖促進遺伝子の発現を活性化する転写因子であり、MYCLは胎生膵島に高発現し、成熟膵島への強制発現が膵β細胞のリプログラミング、増殖を促すことが報告されている。BDNFは、ニューロンの成長、生存に重要な役割を果たす主要な神経栄養因子であり、膵β細胞の機能と生存の調節に影響を与えることが示唆されている。 膵切除後の膵β細胞において、β細胞量の増加、大幅な膵β細胞量の低下にもかかわらず耐糖能が維持される。その機序として、上記の調節因子による細胞周期促進、抗酸化による細胞保護、再プログラミング、インスリン分泌促進が、β細胞量調節および機能調節に関与する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
定量的プロテオームの上流調節因子の解析により、膵切除後のβ細胞で変化する新たなシグナル候補が同定された。
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Strategy for Future Research Activity |
計画の推進にあたり大きな課題はないため、引き続き計画に基づき進めていく。
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