2023 Fiscal Year Research-status Report
周術期H.pylori除菌の胃癌予後改善効果:ICOS発現Tregの制御
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22K08846
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
浦川 真哉 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教員 (40768975)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒川 幸典 大阪大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (10470197)
西塔 拓郎 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (20646468)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 胃癌 / ICOS陽性Treg / H.pylori / 除菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、H. pylori除菌の抗腫瘍免疫増強効果による胃癌治療法を開発することが目的である。術前H. pylori除菌が胃癌腫瘍内Tregを制御する方法として確立されれば、現在急激な広がりを見せる免疫チェックポイント治療の強力な併用治療として採用され、胃癌全体の治療成績が飛躍的に向上しうると考えられる。本研究は、主に【1】 H.pylori除菌が胃癌予後に与える効果(後ろ向きコホート)、【2】 H.pylori除菌前後での免疫関連因子の経時的解析(前向きコホート)、【3】 がん微小転移巣にH.pylori除菌が与える効果・メカニズム解析(in vivo)で構成される。 2022年度に、【1】の後ろ向きコホート研究で、胃癌手術前にH.pyloriを除菌した症例は、予後が良好であることを証明した。【2】の前向きコホート研究では、2022年度に引き続きサンプル回収を行い、胃癌患者76例(うち、H.pylori陰性14例、H.pylori陽性62例(非除菌20例、除菌後26例、術前除菌16例))において、保存された新鮮腫瘍組織、正常胃組織の免疫関連因子をフローサイトメトリー解析した。結果、非除菌症例は除菌後症例と比較して、ICOS陽性Treg頻度が有意に高く。これら細胞群のKi-67発現が高値であった。術前除菌症例では、同一症例において除菌前後の経時的な免疫関連因子の比較が可能である。H.pylori除菌によりICOS陽性Tregが有意に低下し、これら細胞群のKi-67発現が低下、すなわち細胞分裂能の低下を認めた。症例数は少ないものの、CD8 陽性T細胞の細胞傷害活性への変化も認めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、【1】後ろ向きコホート研究、【2】前向きコホート研究、【3】in vivo研究で構成される 2022年度に【1】H.pylori除菌が胃癌予後に与える効果(後ろ向き解析)では、H. pylori除菌が胃癌予後改善につながることを証明した。2023年度は【2】においてH.pylori除菌前後でのサンプル回収(新鮮腫瘍組織、正常胃組織、末梢血)を進め、フローサイトメトリー解析を行い、免疫関連因子の経時的変化を確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
【2】で得られたサンプルをもとにフローサイトメトリー解析を行っている。現時点でICOS陽性Tregに関わる免疫関連因子の経時的変化を確認した。今後は、保存検体を用いてCD8陽性T細胞を含む免疫細胞を網羅的に解析することで、胃癌予後に関わる新規免疫関連因子を探索する。【3】では前述の結果をもとに、腹膜転移マウスモデルを用いてH. pylori除菌ががん微小転移の免疫環境に影響を与えるメカニズムを解析する予定としいてる。前実験としてin vitroにて再現性を確認する。上記から、ICOS発現Tregを標的とした新たな治療法を探索する予定としている。
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Causes of Carryover |
前年度のサンプル回収が予定より遅れたため、保存検体を用いた網羅的解析を次年度も継続して行う予定としている。そのため、解析に使用する抗体等の物品購入が次年度となる。そのため次年度使用額が生じた。
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Research Products
(1 results)