2022 Fiscal Year Research-status Report
制御性T細胞のmPGES-1/PGE2/EP受容体による虚血改善メカニズムの解析
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22K08942
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
天野 英樹 北里大学, 医学部, 教授 (60296481)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江島 耕二 北里大学, 理学部, 教授 (30327324)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 制御性T細胞 / 血管新生 / 虚血改善効果 / 免疫細胞 / Rag2KO |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はTreg自身が虚血改善効果に関与しているか否かについて検討した。Rag2KOに対し①T細胞を移植後の虚血改善果の違い②Treg細胞又は非Treg細胞を移植後に虚血改善効果の違いの2つを検討することにした。1.T細胞の虚血改善効果の検討(天野英樹,江島耕二):虚血改善にT細胞が関与しているか検討するためにWT由来の脾臓細胞をRag2KOに移植後右大腿動脈を露出し,結紮・切離し下肢虚血モデルの作成を行なった。2.下肢の虚血改善効果の評価 (天野英樹):①右下肢の虚血改善効果:虚血改善効果は 下肢血流比=右下肢血流量/左下肢血流量で行なった。WT由来の脾臓細胞を投与群は対照群と比較し有意に虚血の改善効果を認めた。3.新生血管の評価:血管内皮特異的マーカーであるCD31に対する免疫組織化学を行った。CD31陽性の細胞数をNIH imageソフトを用いて算出した。WT由来の脾臓細胞を投与群は対照群と比較し有意に虚血筋組織におけるCD31陽性細胞数の増加を認めた。4.WT由来のTregの虚血改善効果の検討(天野英樹, 江島耕二)WTの胸腺組織からセルソータを用いてTreg細胞(CD4+CD25+)と非Treg細胞(CD4+CD25-)を抽出した。Rag2KOにこれらの細胞を移植後,モデル作成し経時的に左右の下肢血流比を測定を行なった。Rag2KOにWT胸腺由来のTreg細胞(CD4+CD25+)移植群は非Treg細胞(CD4+CD25-)移植群と比較し有意に虚血の改善効果を認めた。さらに虚血筋組織におけるCD31陽性細胞数もTreg細胞(CD4+CD25+)移植群は非Treg細胞(CD4+CD25-)移植群と比較し有意に増加を認めた。以上の結果から虚血部位にし移籍したTregのmPGES-1/PGE2経路が虚血の改善に深く関与していることが推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
No1-3の実験は順調に結果を出すことができた。 No4は胸腺組織からセルソーターを用いて制御性T細胞と非制御性T細胞を十分量抽出することができず約6ヶ月時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はTregのmPGES-1/PGE2経路が虚血改善効果に関与しているか否かについて検討する。mPGES-1KOに対し①WT由来のTreg(CD4+CD25+)と非Treg(CD4+CD25-)を移植後に虚血改善効果の違い②Tregを活性化した時にPGE2のどのEP受容体の発現の効果の違い③Tregを活性化した時に血管新生促進因子の増強効果の違いの3つを検討することにする。1.WT由来のTreg移植によるmPGES-1KOの虚血改善効果(天野英樹,江島耕二)WTの胸腺からTregと非Tregを抽出し,mPGES-1KOに移植後,虚血モデルを作製し,経時的に左右血流比を測定する。2.活性化TregにおけるEP4受容体の発現効果の検討(天野英樹,江島耕二)予備実験にて申請者は虚血筋組織でEP4受容体の発現の増強を確認した。WT及び mPGES-1KOの胸腺組織からセルソータを用いてTregを抽出,活性化後,EP1-4の受容体の発現を定量PCRで解析する。 3.虚血改善効果におけるEP4受容体の役割 (天野英樹) WT及びmPGES-1KOでモデル作成後,選択的EP4受容体刺激薬または選択的EP4受容体拮抗薬を投与し経時的に左右血流比を測定する4.Tregの血管新生促進因子(TGF-beta)の発現効果の検討 (天野英樹,江島耕二)Tregは分化誘導因子及び血管新生促進因子であるTGF-betaを産生する。WT及びmPGES-1KOのTregを2の方法で抽出し,活性化後 TGF-betaの発現を定量的PCRまたはELISAを用いて解析する。 5. 虚血改善効果におけるTGFbetaの役割の検討 (天野英樹)WT及びmPGES-1KOでモデル作成後, TGF-beta中和抗体を投与し経時的に左右血流比を測定する。
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Causes of Carryover |
1. 共同研究者である江島耕二が他学部の教授に就任したため、移動などで一時研究が中断してしまった。2. 新型コロナ感染症対策のため、3密にならないよう研究する日程を調節していたため研究日が以前より少なくなった。3. マウス及び備品の調達が以前より時間がかかるため、全体的に研究の進捗状況が以前より遅くなったことの3点が考えられる。 本年4月より、本法人の新型コロナウイルス感染症に対する規制が緩和したため、研究環境が以前に戻ることが予想されることから問題が解消できると考えられる。
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Research Products
(8 results)