2022 Fiscal Year Research-status Report
吸入麻酔薬のSirtを介した心筋保護作用に対して高血糖状態が与える影響
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22K09048
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
角田 奈美 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 准教授 (00622606)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堤 理恵 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 講師 (80510172) [Withdrawn]
酒井 陽子 徳島大学, 病院, 特任教授 (90711862)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 心筋保護 / 吸入麻酔薬 / Sirt / 虚血再灌流障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者の研究グループは早くから吸入麻酔薬の心筋保護作用に注目し、その経路を明らかにしてきた。しかしながらそのメカニズムの全容は明らかになっていない。近年、長寿遺伝子として注目されている Sirt (sirtuin) が心筋保護に関与する可能性があると報告された。また、これらの心筋保護作用が、肥満や血糖値によって影響されることも明らかになってきた。つまり、Sirt は高血糖などの体内状態により動態・作用の変化が起こる可能性が示唆される。我々は両者に関連があると考察するが、両者の関連についてはまだ明らかでない。 そこで本研究は、イソフルランの Sirt を介した心筋保護作用に対して、高血糖状態がどのような影響を与えるのかを解明することを目的とする。 マウスに吸入麻酔薬イソフルランを 1.0 MAC 吸入させた後、心臓を取り出しホモジナイズし RT-PCR、イムノブロットを用い RNA 及びタンパクレベルにおいて Sirt の発現が増加していることを明らかにした。 次に、マウスを人工呼吸下に吸入麻酔薬刺激を30分行い、その後、心臓冠動脈を30分間閉塞し、2時間の再潅流を行う。再び冠動脈を閉塞、Evans Blueを注入し、心臓を取り出す。心臓をスライスし、再染色後心筋梗塞サイズを測定する。Sirt の誘導剤であるresveratrolを投与して心筋梗塞サイズを比較した。コントロール群に比べて、吸入麻酔薬前投与群では、心筋梗塞サイズが減少した。また、同様にresveratrolを前投与した軍においても心筋梗塞サイズが減少したことより、Sirtが心筋梗塞サイズ減少に関与していることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は、吸入麻酔薬刺激後の Sirt 発現を確認する実験と、マウス in vivo 虚血再潅流モデルを用いてコントロール群、吸入麻酔薬群において心筋梗塞サイズを測定比較する実験、さらに、Sirt の誘導剤を前投与し Sirt の心筋保護作用作用を明らかにする実験を行う予定であった。それらの実験が順調に経過しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
Sirt の阻害剤を前投与し Sirt の吸入麻酔薬における心筋保護作用との関連性を明らかにする。また、グルコースを注入することで高血糖マウスモデル(血糖600 mg/dL)を作成する。各群に対して同様の虚血再灌流実験を行い、心筋梗塞サイズを比較検討する。高血糖マウスモデルに対し、インスリンを用いることで血糖値を下げる。その後、各群に対して in vivo マウス虚血再灌流実験を行い、心筋梗塞サイズを比較検討する。
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Research Products
(3 results)