2022 Fiscal Year Research-status Report
呼気窒素酸化物計測の侵襲時のモニタリングとしての有用性と早期介入への応用
Project/Area Number |
22K09069
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
舩木 一美 鳥取大学, 医学部附属病院, 准教授 (30423263)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 呼気ガス / 窒素酸化物 / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
一酸化窒素(NO)は多彩な作用があり、NO産生のバランスは、多くの疾患・症候群と関連している。呼気NO計測の気管支喘息への有用性は知られているが、それ以外の疾患・症候群での有用性は不明である。この原因は、現在のNO計測器では、NOの絶対値を計測できない上に、NO以外の窒素酸化物を計測できず、生体内の活性窒素種の挙動が把握できないため、NO産生のバランスがわからないことにある。 今回、新技術によりNOを含む窒素酸化物の絶対値を計測できる呼気窒素酸化物計測器を開発した。この計測器では、NO以外にも、二酸化窒素(NO2)、HONOが測定でき、このことが画期的である。NO2は産生したNOの代謝過程において、低比重リボ蛋白あるいは細胞膜のような酸素が濃縮された環境下において生成するとされ、NOと共に活性窒素種として生体内で様々な反応に関与する一方、活性酸素種のスカベンジャーとなる。HONOについても、NO2-の存在は酸性条件ではHONOの放出へ傾き、ヒドロキシラジカルとの反応によってもHONOが生成する可能性がある。したがって、今回開発した呼気窒素酸化物計測器なら、活性窒素種の体内での挙動の全貌をリアルタイムに把握できる可能性がある。 そこで、①新開発した呼気窒素酸化物計測器によって、NO産生のバランスが監視できるのか、②呼気窒素酸化物計測器によるNO産生のバランスの監視は、早期介入に有用なのか、を検討することが、本研究の目的である。 まず臨床研究として、予定腹部手術を行う患者における各種の呼気窒素酸化物の測定を行っており、患者登録中である。現時点では、臨床的意義については結論が出せない状況である。また、ウサギによる動物実験を予定していたが、測定時に必要な呼気容量が多く、正確な測定に問題が生じる可能性が出たため、動物実験については保留中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
臨床研究については、新型コロナウイルス感染症患者の増加により、院内の手術予定に大きな影響を与えて、患者登録がうまくいっていない。また、動物実験については機器的問題で保留となったため、行えていない。
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Strategy for Future Research Activity |
感染症法の変更により当院でも新型コロナウイルス感染症患者に対する対応が変わるので、まず現在行っている臨床研究を進め、解析を行う。また、臨床研究で、大侵襲手術である心臓血管外科手術、肺手術、急性肺傷害患者について新たに始める。また、動物実験についても機器の調整によって行うことを目指す。
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Causes of Carryover |
患者登録中であり、サイトカインなどの解析していないものあるため、次年度使用額が発生した。
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