2022 Fiscal Year Research-status Report
肥大心のメタボローム解析と薬理学的コンディショニングにおけるNAD+合成系の制御
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22K09071
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
岩崎 直也 長崎大学, 病院(医学系), 助手 (40894358)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド / ニコチンアミドモノヌクレオチド / オートファジー / 虚血再灌流傷害 |
Outline of Annual Research Achievements |
ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド (nicotinamide adenine dinucleotide: NAD+)中間代謝産物であるニコチンアミドモノヌクレオチドは心筋虚血再灌流傷害に対してオートファジー活性化を介した保護効果を有すると報告されている。またオートファジー活性低下と心臓手術後の死亡リスクは相関すると報告されている。肥大心や糖尿病、加齢は吸入麻酔薬の心筋保護効果が減弱する要素として知られるが、近年これらの要素を有する患者に共通してNAD+が減少していることが分かってきた。本研究において肥大心の薬理学的コンディショニングにおけるNAD+合成系の関与を解明することは、これらの病態における心筋保護方法の確立にも貢献する可能性があると考えられる。肥大心モデルラットは腹部大動脈縮窄手技(Abdominal Aortic Constriction: AAC)を施したラットを利用した。細い針(26G)を用いたAACでは腹部大動脈の狭窄が強すぎて生存できず、20Gでは心筋肥大が生じなかった。またAAC後の飼育期間が短いと十分に肥大していなかった。結果的に週齢8週のラットに22GでAACを施し6週間飼育することで、心臓体重比(mg/g)が正常心ラット2.60±0.09 vs 肥大心ラット2.80±0.20 (p<0.05)、拡張末期左室後壁厚 (mm)が正常心ラット2.04±0.22 vs 肥大心ラット2.55±0.23 (p<0.05)(いずれも平均値±標準偏差)となり肥大心モデルとして矛盾しない結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
肥大心ラットのモデル作成に時間を要した。また左室圧-容量曲線を計測する機器の不調で実験を中断中である。
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Strategy for Future Research Activity |
機器の修理後、左室圧-容量曲線の計測を再開する。また、左前下行枝の結紮による虚血再灌流手技により生じる心筋梗塞のサイズを、Triphenyltetrazolium chloride を用いて梗塞部位 (Infarct Area: IA、不染) と非梗塞部位 (赤染) に区別し、心筋梗塞サイズを算出する。
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Causes of Carryover |
モデル作成に時間を要したためウエスタンブロッティングを実施できず、抗体や試薬の購入を送ったため。2023年度にウエスタンブロッティングに必要な抗体、試薬を購入する予定である。
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