2023 Fiscal Year Research-status Report
Modification of the intercellular network of immune cells in tumor microenvironment by sedatives and anesthetics.
Project/Area Number |
22K09083
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
神谷 真子 朝日大学, 経営学部, 教授 (80181907)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 信夫 朝日大学, 歯学部, 教授 (40202072)
智原 栄一 明治国際医療大学, 保健医療学部, 教授 (80244581)
村松 泰徳 朝日大学, 歯学部, 教授 (30247556)
高山 英次 朝日大学, 歯学部, 准教授 (70533446)
川木 晴美 朝日大学, 歯学部, 教授 (70513670)
梅村 直己 朝日大学, 歯学部, 講師 (80609107)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ミダゾラム / IL-10 / IFN-γ / IL-2 / ベンゾジアゼピン受容体 / 癌関連線維芽細胞 / デキスメデトミジン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、がん―免疫細胞―がん関連線維芽細胞(CAF)の細胞間ネットワークにおける鎮静・麻酔薬の作用を明らかにすることを目的としている。初年度では鎮静麻酔薬の一種であるミダゾラムが、マウス脾細胞への直接効果としてIL-10産生能特異的な阻害効果に加えてIL-2をも抑制することを明らかにした。次年度は、ミダゾラムに加えてα2作動性鎮静薬であるデキスメデトミジン、抗腫瘍効果を持つとされるプロポリスの主要成分(カフェイン酸フェネチルエステル、CAPE)も検討対象に加え、これら薬剤のマウス脾細胞の免疫応答に与える効果を観察するとともに、ミダゾラムの作用に対しては受容体拮抗薬の影響を観察し以下の結果を得た。 1)α2作動性鎮静薬であるデキスメデトミジンは、0.3~5000nMの広濃度域において、刺激脾細胞のサイトカイン(IL-2、IL-10、IFN-γ)産生にほとんど影響を与えなかった。一方、CAPEはミダゾラムとは逆に脾細胞のIL-2、IL-10産生能を増強した。 2)中枢型ベンゾジアゼピン受容体(BDZR)拮抗薬であるフルマゼニルは、ミダゾラムのIL-10およびIL-2産生抑制効果を解消せず、フルマゼニル自体も何ら影響を与えなかった。 3) 2種類の末梢型BDZRリガンド(PK11195およびRo5-4864)も、ミダゾラムのIL-10およびIL-2産生抑制効果を解消しなかったが、ミダゾラムの有無にかかわらず、薬剤単独で刺激脾細胞からのIL-10,IL-2およびIFN-産生を抑制した。 以上の結果から、ミダゾラムによるIL-2およびI-10産抑制効果は、他の鎮静薬などとは異なる特異な効果ではあるが、その作用は既知のBZPRを介すものではないことが明らかとなった。さらにこれとは別に脾細胞のIL-2およびIL-10産生の調節には、末梢型BZPRが関与する経路が存在す可能性が指摘できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ミダゾラムの免疫担当細胞に与える効果に関しては、関連する受容体の検索など着実に進行している。その一方、初年度にフリーザーの故障等のためやり直しとなったCAFの樹立が現時点でもうまく進まず、その結果CAFに代表される間質細胞への影響とその作用機序についての検討が、遅れたままである。
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Strategy for Future Research Activity |
ミダゾラムの免疫担当細胞およびがん細胞への影響については、関与する受容体、細胞内伝達系の検討など、当初の計画に従ってさらに進める。一方、担癌マウスからのCAFの樹立は引き続き試みるが、それと並行して、10T1/2など市販で入手できる間質細胞系の培養細胞をCAFモデルとして用い、がん―免疫細胞―がん関連線維芽細胞(CAF)混合培養系中での効果などの検討を進めていく。
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Causes of Carryover |
次年度使用が生じた主な理由として以下の2点があげられる。1つは、試験管内培養系などの実験系の改良によりスケールダウンが可能となり、研究の計画当初より高価な試薬代が節約できていること。2つめは、がん―免疫細胞―がん関連線維芽細胞(CAF)混合培養系を用いた解析のための試薬等の購入を次年度に繰り越したことである。混合培養系を用いた解析は、10T1/2など入手可能な代替細胞を用いて次年度遂行する。このほか実験系の改良などで節約できた資金については、次年度が最終年度となるため成果発表(学会発表、論文投稿、英文校正)のための費用に充填する予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Enhanced production of IL-2 from anti-CD3 antibody-stimulated mouse spleen cells by caffeic acid phenethyl ester, a major component of Chinese propolis2023
Author(s)
Ando M, Takahashi M, Mizuno-Kamiya M, Morimoto-Ito H,Ikeno K, Ueno K, Takayama E, Nakamura G, Muramatsu Y, Fujita H, Kondoh N
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Journal Title
Journal of Oral Biosciences
Volume: 65
Pages: 386-394
DOI
Peer Reviewed
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