2022 Fiscal Year Research-status Report
植え込み型加速度センサーを用いたサル脳梗塞モデルの定量評価システムの確立
Project/Area Number |
22K09230
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
菊地 哲広 京都大学, iPS細胞研究所, 特定拠点助教 (40619821)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 脳梗塞 / 行動解析 / カニクイザル |
Outline of Annual Research Achievements |
脳卒中に対する急性期の治療として、血栓溶解療法が開発され、一定の効果を上げているが、適応時期が限られている。その後の薬物療法やリハビリテーションのみでは治療効果は十分とは言い難い。過去に行われたマウスやラットなどの齧歯類モデル動物を用いた薬物療法の前臨床試験で有効とされた治療法のほとんどが、ヒトの臨床試験では無効であった。近年、新しい治療法として細胞移植治療が注目されているが、上記の理由により、齧歯類よりも解剖学的、機能的にヒトの脳に近い霊長類での前臨床試験を行うことが重要であると考える。霊長類の運動麻痺の評価としては、ヒトの脳卒中スケールであるNIHSSに準じた霊長類脳卒中スケールや障害の程度を6段階で評価する霊長類版のmodified Rankin Scaleなどといったスコア評価や、より定量的な評価としてはエサ取りなどの作業を行わせて作業にかかる時間を計測するエサ取り試験などが行われている。しかしながら、前者では検者の主観が評価に影響する可能性があり、後者も検者の熟練や被検動物との相性、さらには動物の機嫌などにより結果に影響が出る可能性がある。より客観的な評価として、齧歯類では24時間ビデオ撮影を行い、運動量を計測する方法があるが、霊長類では飼育ケージが大きいことや飼育ケージの強度を維持するための柵構造などがビデオ撮影の障害となり、飼育下で継続的にビデオ撮影を行うことは困難である。 本研究では、カニクイザル脳梗塞モデルを用いた前臨床試験における、客観的・定量的評価方法の確立を目的とし、脳梗塞後のカニクイザル両上肢に三次元加速度センサーを植え込むことで、自発運動を持続的・長期間に渡って観測する。 予備試験において、カニクイザルにおいて外科的に中大脳動脈閉塞が可能であり、対側の麻痺が生じることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カニクイザルにおいて外科的に中大脳動脈閉塞が可能であり、対側の麻痺が生じることを確認した。またカニクイザルの両上肢背側に三次元加速度センサー(nano tag)を植え込み可能であることを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
カニクイザル3頭の両上肢背側に三次元加速度センサー(nano tag)を植え込み、その後に中大脳動脈閉塞を行い、脳梗塞後の麻痺を定量的に評価する。研究に必要な環境は構築されており今後の研究遂行に当たり大きな問題はない。
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Causes of Carryover |
植え込み型加速度センサーの電池寿命が想定よりも短かったため植え込み直前に購入することとし次年度使用額が生じることとなった。予定通り本年度購入分と会わせて購入予定である。
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