2023 Fiscal Year Research-status Report
脳動静脈奇形における血管内皮のKRAS変異とPAD4活性化の関係
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22K09259
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
高木 康志 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (40312227)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島田 健司 徳島大学, 病院, 講師 (60624351)
山口 泉 徳島大学, 病院, 特任助教 (70780005)
曽我部 周 徳島大学, 病院, 助教 (70883718)
宮本 健志 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 徳島大学専門研究員 (80585000)
兼松 康久 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 准教授 (90363142)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | Brain AVM / KRAS変異 / NETs形成 / 血管増生 / 脳出血 / 炎症性変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに脳動静脈奇形(bAVM)における血管内皮のKRAS変異が症例の約50%に認められることを報告している。近年、血管の炎症性変化と関連してepigeneticなchromatin remodelingや好中球細胞外trap(neutrophil extracellular trap;NET)形成においてpeptidyl arginine deaminase 4 (PAD 4)によりHistone 3 (H3)のR2、R3およびR17の残基がシトルリン化されたCitH3が進行がん患者で血漿中に増加していることが、RAS遺伝子変異とともに報告されている。 研究代表者らも脳動脈瘤奇形(bAVM)症例から摘出した血管組織標本においてKRAS遺伝子変異を報告し、これらに加えて、PAD4活性化によるCitH3の発現やneutrophil extracellular trap;NETs)との発現を解析し、全症例でこれらの発現増加を認めている(World Neurosurgery , 2021)。さらに、AVM血管周囲には増殖性変化に関与する分子の発現が高いとする報告がある一方、出血性変化も認められることから、血管増生に関する分子に加えて、血管破裂に関連する分子の解析を遺伝子レベルや蛋白発現レベルでの解析を行い、病態解明に向けてさらに検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CitH3の発現を予備検討的に健常者との比較で解析すると、bAVM症例ではCitH3の発現が明らかに高く、NETs形成が100%に認められたることや、これらの発現が炎症関連分子の発現と関連していることを報告している(World Neurosurgery, 2021)。さらに手術例から摘出したAVM組織の遺伝子レベルでの発現をmicroarrayを用いて網羅解析後に、変化を認めた分子を更にRT-PCRで解析し、炎症性分子の増加とこれらの抑制に働く分子との不均衡を新たに発見している。これらの不均衡が発症後の予後やModified Rankin Scaleとも関連することを予備検討的に見出しており、症例を重ねてこれらの意義を明らかにするための検討を継続している。 以上のことから本研究の進捗状況は、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
bAVMでは脳動脈瘤の破裂性変化と同様にNETsや炎症性サイトカインの発現が高いことを報告しており、bAVMの血管周囲には血管の増殖性変化に関与する分子の発現が高いとする報告もなされていることから、病態の解明に向けてmicroarrayを用いた検討結果をもとに、血管増生と破裂に向かう分子のRT-PCRを行い、新たにbAVM発症時の出血を含む病態や退院時のModify-Rankin Scaleとの関連性が推定されるkeyとなる分子の解明に向けて、免疫組織学的評価も行う。血管増生あるいは破裂に関与する多面的な解析を継続し、病態解明と治療方策確立に向けて取り組む。
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Causes of Carryover |
研究の進展状況、継続に伴い、抗体などの試薬および動物購入経費および維持・管理費などの経費や、研究室の物品の利用等で予定より少額で賄えたため次年度使用額が生じた。 文献を入手しての計画の再検討などを行った。 次年度計画において、本年度分も合わせて集中的に進め、翌年度分として請求した研究費と合わせて、試薬等の物品費として使用する予定である。
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Research Products
(8 results)
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[Presentation] 円蓋部硬膜動静脈瘻の発生と流出静脈路の経時的な変化についての考察2023
Author(s)
高麗雅章、榎本 紀哉, 羽星 辰哉, 山口 泉, 曽我部 周, 島田 健司, 黒田一駿, 山本 伸昭, 兼松 康久, 松原 俊二, 佐藤 浩一, 髙木 康志
Organizer
第39回日本脳神経血管内治療学会学術集会
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