2022 Fiscal Year Research-status Report
塩基性ヘリックスループヘリックス転写機構制御と細胞治療を融合する神経再生治療開発
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22K09280
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西村 由介 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (20447816)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永島 吉孝 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (20867684)
夏目 敦至 名古屋大学, 未来社会創造機構, 特任教授 (30362255)
古橋 和拡 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (50835121)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ヒト由来歯髄幹細胞 / Neurod4 / MCP-1 / TGF-β / 下肢運動機能 / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
① bHLH神経転写因子の遺伝子導入、 in vitroでの神経栄養因子の測定:アフリカツメガエル幼生期に高発現している脊髄再生に関わるNeurod4(bHLH神経転写因子)をシュードウイルスベクターでSHED(ヒト由来歯髄幹細胞)に良好に遺伝子導入し(Neurod4-SHED)、ウエスタンブロットでNeurod4が発現されていることが確認できた。その後、in vitroで培養し、神経栄養因子の分泌(培養上清での測定)を測定し、Neurod4-SHEDをnaiveのSHEDと比較した結果、MCP-1、TGF-βが有意に上昇していることがつきとめられた。これらが炎症惹起するM1マクロファージより炎症抑制するM2マクロファージを活性化する機能を有するため、マクロファージの動態を解析することを現在行っている。 ② ラットへのSHED投与、機能評価、組織学的解析:胸髄損傷ラットモデルを用い、SHEDを胸髄内に投与した。下肢運動機能スコア(BBBスコア)で良好な下肢の運動機能回復がnaiveのSHEDとの比較で有意差をもって確認された。 ③ Neurod4-SHEDの造腫瘍性試験:Neurod4-SHEDを移植して8週間の時点では、ラットの健康状態には問題がなく、造腫瘍性も否定されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基本的にはおおむね順調に進展しており、予測された通り遺伝子改変した歯髄幹細胞(Neurod4-SHED)を投与したラットでは有意な下肢運動機能改善が認められた。そのメカニズムの解析の第1段階として、神経栄養因子の分泌(培養上清での測定)を測定し、naiveのSHEDと比較した結果、MCP-1、TGF-βが有意に上昇していることがつきとめられた。これらが炎症惹起するM1マクロファージより炎症抑制するM2マクロファージを活性化する機能を有するため、現在マクロファージの動態の研究を進めているが、今のところウエスタンブロットではnaiveのSHEDと比較して、Neurod4-SHEDがM2マクロファージを有意に誘導することが証明できておらずやや時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
マクロファージの動態に関しては、マクロファージとSHEDの共培養を行い、M2マクロファージがNeurod4-SHEDにより有意に誘導されることを証明する。また、Neurod4-SHEDマイクロアレイ解析を行うことにより、ラット運動機能の有意な改善に寄与した神経再生に関わる因子の同定を行う予定である。また、運動機能が改善したラット脊髄の病理学的な解析、損傷脊髄移植8週間後のNeurod4-SHEDの動態と分化の解析も行う。
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Research Products
(1 results)