2022 Fiscal Year Research-status Report
自家筋膜周囲組織と間葉系幹細胞移植を用いた難治性巨大骨欠損治療法の開発
Project/Area Number |
22K09324
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
三島 初 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (60361341)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅谷 久 筑波技術大学, 保健科学部, 准教授 (10752553)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 巨大骨欠損 / 自家筋膜周囲組織 / ウサギ |
Outline of Annual Research Achievements |
実験計画に沿って、12週齢の日本白色家兎の右大腿骨骨幹部に20mmの巨大骨欠損を作成した。DepuySynthes社製MatrixMANDIBLE リコンプレート及び2.4mmロッキングスクリュー4本を用いて架橋プレート固定を行い実験モデルを作成した。自家骨は同側の腸骨翼より皮質骨付きの海綿骨を採取し、細かく粉砕して骨欠損部に移植することとした。PATも手術創の右大腿骨外側より40mmX40mmの十分なサイズが採取できることを確認した。当初予定していた実験計画では、PAT移植の有効性が判断できないと考え、計画を変更しControlとして、骨欠損部に自家骨移植のみを行う群を追加した。群間の内訳は①自家骨移植のみ群(Contorl)②自家骨移植+PAT移植群③Masquelet群とし、各群はn=8とした。 実験モデルは麻酔の過量投与や感染などで数羽が死亡した。術後4週でレントゲン撮影を行い、8週で屠殺予定だったがX線撮影機器の故障があり、屠殺を延期し、各モデルとも20週で屠殺した。20週の屠殺時に骨癒合を確認できたのは①自家骨移植のみ群で1/7羽、②自家骨移植+PAT移植群で0/5羽、③Masquelet群で7/7羽であった。偽関節化したモデルのうち、①自家骨移植のみ群2/6羽、②自家骨移植+PAT移植群2/5羽で骨移植部の感染を確認した。③Masquelet群では感染を認めなかった。 初年度の結果としては、Masquelet群の骨形成能は非常に強く、自家骨移植にPAT移植を併用することの優位性は見いだせなかった。現在、各群の移植骨周囲の骨膜・軟部組織を組織検査に提出しており、PATの組織変化などを評価予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
動物モデルの作成や採骨、PAT採取などの手技上の問題は特になかった。しかし、X線撮影機器の故障があり、予定通りのスケジュールで屠殺が行えず、当初の予定通りに評価を行うことが出来なかった。 また、偽関節部の感染を併発しているモデルが多かった。なかなか骨癒合が得られない場合、骨折部の不安定性が残存し、感染の温床になる可能性があると思われた。また、感染には手技の清潔度の問題もあると思われた。今後のモデル作りの際の手技は工夫が必要と思われた。
|
Strategy for Future Research Activity |
PAT移植の目的として、PAT特有の豊富な血管網による移植骨の早期再血流化を期待したが、実験モデルでの優位性は見いだせなかった。まだ組織の評価ができていないが、PATの血管網が何らかの原因で増えることなく、移植骨周囲に厚い線維性組織として生着してしまった可能性を考えている。形成外科領域の報告では、PAT移植にbFGFの投与などを行い、血流のよい肉芽形成などを促進した報告があり、PAT移植単独ではなく、PATに血管内皮細胞増殖を促す薬剤投与を組み合わせることを検討している。今回の実験でPATをDMEM培地で細胞培養しており、PAT細胞とbFGF溶液でin vitroでの血管増殖などを評価する予定である。
|
Causes of Carryover |
当初の予定通りのスケジュールで実験モデルの屠殺が行えなかったため、力学試験を割愛し、画像検査と組織検査のみとしたため、残額が生じた。2023年度でも同様に動物モデルを作成し、同様に実験を進めていく予定のため、残額は2023年度に使用予定である。
|