2023 Fiscal Year Research-status Report
FGFR3インヒビターのマウスモデルへの長期投与と作用機序の検討
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22K09398
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松下 雅樹 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (60721115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鬼頭 浩史 あいち小児保健医療総合センター(臨床研究室), 臨床研究室, 副センター長 (40291174)
三島 健一 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (40646519)
神谷 庸成 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (50845542)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | メクロジン / 軟骨無形成症 / FGFR3 / 低身長 / 脊柱管狭窄症 |
Outline of Annual Research Achievements |
ドラッグリポジショニングにより乗り物酔い止め薬としての使用実績のある内服薬のメクロジンに線維芽細胞増殖因子受容体3(fibroblast growth factor receptor 3 : FGFR3)シグナルの抑制効果があることが示されている。また、メクロジン1および2 mg/kg/dayを軟骨無形成症(achondroplasia:ACH)マウスモデルへ10日間定量的に経口投与すると濃度依存性に骨伸長は促進されることも証明されている。本研究では、メクロジンを成長期のACHマウスに長期間投与することで全成長期にわたって骨伸長効果を発揮するための至適投与量を決定することである。ACHマウスは麻痺を発症して一定数死亡するが、令和4年度にメクロジン2 mg/kg/dayをACHマウスに7日齢から56日齢まで投与すると生存率は有意に向上したことを見いだした。一方、生存したACHマウスの肝臓組織を解析すると明らかな肝細胞の肥大は認められなかったことより、成長期に長期間メクロジンを投与しても肝毒性は示さないと判断した。また、10日間の短期投与した時と同様に、メクロジンを長期間投与するとマウスの体長は促進された。マイクロCTにて各骨の長さを計測すると頭蓋骨、長管骨、脊椎の長さはメクロジン長期投与により促進された。さらに、メクロジンはACHマウスで認められる後弯変形を改善させた。令和5年度にはACHマウスに同様のプロトコールでメクリジンを長期間投与して透明骨格標本を作製して脊柱管を解析した。第7頸椎と第13胸椎を摘出して脊柱管径を計測すると野生型マウスに比較してACHマウスは脊柱管径が有意に狭小していた。メクリジンを長期間投与すると第7頸椎においては有意にACHマウスの脊柱管径を拡大し、第13胸椎においては拡大傾向を認めた。次年度は脊柱管の軟骨結合を組織学的に検討を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度は、2mg/kg/dayのメクロジンをACHマウスに7日齢から56日齢まで成長期に渡って長期間投与した。ACHマウスは野生型マウスと比較して体長は減少し、各骨(頭蓋骨、長管骨、脊椎)の骨伸長は抑制され、長管骨骨幹端における骨密度は低下している。メクロジンの長期間の投与により、これらのACHマウスの表現型を改善することを示すことができた。また、長期間投与しても肝毒性を呈さないことも判明した。一方、ACHマウスは麻痺により一定数死亡することが知られているが、メクロジン投与により死亡率が改善したことを示すことができた。また、ACHで認められる後弯変形もメクロジンにより改善した。令和5年度は、同様のプロトコールでメクロジンの投与を行い、メクロジンはACHマウスに合併している脊柱管狭窄を部分的にレスキューすることを示すことができた。次年度は脊柱管の組織学的検討を行う予定である。 以上により、本研究はおおむね順調に進んでいると考えているが、実験の継続が必要な状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度の結果より、メクロジン2mg/kg/dayをACHマウスに7日齢から56日齢まで長期間投与すると、明らかな毒性を呈さず、ACHマウスの体長は増加し、各骨(頭蓋骨、長管骨、脊椎)の骨伸長は促進され、骨密度は向上した。また、ACHマウスで認められる後弯変形もメクロジン投与により改善した。令和5年度の結果より、メクロジンはACHマウスで狭小化している長管骨の成長軟骨の構造をレスキューした。また、ACHマウスの脊柱管狭窄も部分的にレスキューした。令和6年度は、脊柱管の組織学的解析を行うことで、メクロジン長期投与により脊柱管狭窄が部分レスキューされたことや死亡率が改善した原因を追究する。
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Causes of Carryover |
令和4年度は、メクロジンのマウスモデルへの投薬、マイクロCTの検討を中心に行った。令和5年度は、マウスモデルの組織学的検討やマイクロCT解析を行った。令和6年度も引き続き組織学的検討やマイクロCT解析を行う予定であり使用額が生じる。また、軟骨細胞を用いて細胞内シグナルの検討を行うため、細胞実験のための培養液、FGF2、薬剤、ウエスタンブロッティングを行うための消耗品等が必要である。
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[Journal Article] Phase 1b study on the repurposing of meclizine hydrochloride for children with achondroplasia2023
Author(s)
Matsushita M, Kitoh H, Mishima K, Kamiya Y, Kato D, Takemoto G, Sawamura K, Ueno S, Yasuhiro N, Nishida K, Imagama S
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Journal Title
PLoS One
Volume: 18
Pages: e0283425
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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