2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K09437
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
迫田 秀行 国立医薬品食品衛生研究所, 医療機器部, 主任研究官 (50443099)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅野 伸彦 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教授 (70273620)
坂井 孝司 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (00444539)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 人工関節 / 超高分子量ポリエチレン / 超長寿命 / 耐久性 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 高深度マイクロスラリーエロージョン法の開発と、それを用いた材料劣化の現状調査 マイクロスラリーエロージョン法による強度評価の検出感度やその特性を明らかにすることを目的に、赤外分光光度計により評価した超高分子量ポリエチレンの酸化劣化の程度や、打ち抜き試験により得られる力学特性との関係を調べる実験系を計画した。これらの試験を共通して実施可能な、厚さ0.5 mmの超高分子量ポリエチレン製シートを試験試料とし、12枚のシートを重ね合わせた状態でガンマ線照射と加速酸化処理を施すことで、酸化劣化の程度が異なる試料を作製した。 2. 材料劣化機構の解明 今年度は、新たに抜去インプラント2例、関節液1例を入手した。入手済みの症例も含め、4例について、肉眼観察等の分析を行った。親水性表面修飾が施された超高分子量ポリエチレン製コンポーネントを対象に、修飾の残存状況や摩耗の程度について検証した。接触角測定の結果、親水性表面修飾は、摺動面のほぼ全面で剥離しているものと推定された。一方、再溶融処理により塑性変形を回復させた後、表面観察を行ったところ、摺動面のほとんどの領域で機械加工痕が観察されたことから、摩耗量は限定的であると考えられた。 関節液17例と、抜去超高分子量ポリエチレンコンポーネント24例からの抽出物に含まれるスクアレンを、液体クロマトグラフィー高分解能質量分析装置により定量した。その結果、関節液と抽出物のいずれにおいても、スクアレンの存在量はごくわずかであることが確認され、スクアレンを用いた超高分子量ポリエチレンの安定性試験法の規格の妥当性について、疑問が生じることとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
マイクロスラリーエロージョン法の感度について、検証が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 高深度マイクロスラリーエロージョン法の開発と、それを用いた材料劣化の現状調査 マイクロスラリーエロージョン法の感度を検証する。
2. 材料劣化機構の解明 臨床を模擬した状況では、超高分子量ポリエチレンの材料劣化は生じない可能性についても、検討を進める。
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Causes of Carryover |
高深度マイクロスラリーエロージョン法について、課題が判明したため、これを改善した上で抜去インプラントに適用する予定である。超高分子量ポリエチレンの材料劣化を検出可能な分析法は、いずれも高額であるため、その実施にあったっては、慎重に検討する。
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