2022 Fiscal Year Research-status Report
ヒト子宮着床能前方視的評価メカニズム解明のための月経による内膜再生機構の基礎検討
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22K09570
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中村 仁美 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (80467571)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉井 克人 大阪大学, 大学院医学系研究科, 寄附講座教授 (20236730)
冨松 拓治 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教授 (30346209)
遠藤 誠之 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (30644794)
味村 和哉 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (50437422)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 不妊症 / 着床 / 子宮内膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
不妊症は世界的公衆衛生上の問題として扱われており、この分野における革新は、2010年にノーベル生理学・医学賞を受賞したヒト体外受精治療の開発である。体外受精-胚移植術を中心とした生殖補助医療は現在までに世界中で治療の選択肢の1つとして施行されている。現在の不妊治療の治療効率を向上するには現在ブラックボックスである受け入れ側の子宮の着床能を前方視的に評価しその周期ごとの治療方針に反映させなければならない。これまでの我々の研究において、ヒトでは排卵期前に子宮内膜の電気生理学的パラメータを測定する事でその周期の子宮内膜の受容能が前方視的に評価できる事を明らかにした。このシステムの物質的基盤さらに治療への応用をめざし検討を行う上で、ヒトにおける特徴である、月経により子宮内膜の再生に着目するに至った。生殖補助医療による妊娠においてはpreeclampsiaなどの周産期合併症のリスクが自然妊娠と比較して高い事が知られている。着床の過程における子宮内膜上皮および間質細胞の機能不全がその後の胎盤形成期にも影響を与えている事は否定できない。そこで、本研究ではglycocalyxの硫酸化の着床~胎盤形成期~分娩発来における生理学的意義についてマウスを用いた基礎検討を行った。その結果glycocalyxの硫酸化が局所の生体インピーダンス測定値に影響を与えている事が示唆された。またglycocalyxの硫酸化を促進する治療戦略において、過剰に硫酸化された場合にどうなるのか検討するため、正常マウスの着床期一過性にglycocalyxの硫酸化を促進する一過性遺伝子導入を施行したところ、着床数はコントロール群と有意差は認められなかったが、その後の胎盤形成が抑制され、産仔数は有意に減少した。つまりglycocalyxの硫酸化が適切に制御されている事が着床現象とその後の胎盤形成に重要である事が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通りの研究進捗である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、内膜の再生機構においてglycocalyxの硫酸化の差に着目し検討する予定である。Glycocalyxの評価については、マンチェスター大学産婦人科のAplin教授と、子宮内膜再生の基礎実験モデルに関しては玉井教授と引き続き連携して検討を行う。
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