2023 Fiscal Year Research-status Report
染色体工学技術を利用した細胞老化誘導遺伝子(がん抑制遺伝子)の同定
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22K09571
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
久郷 裕之 鳥取大学, 医学部, 教授 (40225131)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 子宮頸部がん / 細胞老化 / 染色体 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究実施者らは、染色体工学技術を用いて正常細胞由来ヒト2番染色体を子宮頸部がんの細胞株であるSiHa細胞へ導入し、ヒト2番染色体導入細胞特異的に細胞老化が誘導されることを見出した。加えて、細胞老化誘導から逃れた細胞クローンの分子生物学的解析より、高頻度に2番染色体長腕の37領域(2q37)が脱落していることを突き止めた。そこで本研究では、2q37領域内の細胞老化誘導に関与する責任遺伝子を単離同定し、その詳細な分子動態・シグナル伝達機構の統合的な機能解析を通して発がんおよび細胞老化機構の解明を推進し、腫瘍細胞あるいは老化細胞をターゲットとした創薬(抗悪性腫瘍薬・Senolytic rug)の道を拓くことを目指す。 本年度は、2q37領域内から絞り込んだ3つの候補遺伝子を安定に発現するSiHa細胞の解析を実施した。PCRレベルで候補遺伝子の導入が確認できたSiHa細胞クローンについて、ウエスタンブロッティングによりそれぞれの遺伝子のタンパク質レベルでの発現を確認した。その結果、2つの候補遺伝子についてはタンパクの発現を確認できたが、残りの1つについては発現が確認できなかった。発現が確認できた細胞については、引き続き老化マーカーとして広く用いられている老化関連酸性β-ガラクトシダーゼ(SA-β-Gal)の染色による評価とSASP因子(炎症性サイトカインなど)の発現動態を解析し、細胞老化誘導の有無について詳細な検討を実施していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
安定発現株の樹立に少し時間を要しており、候補遺伝子の3つの内、1つに関してはまだ樹立できていないため。今後は、遺伝子導入時に使用するgRNAの設計を見直すなど、実験に工夫を加えて問題解決を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
樹立した候補遺伝子を安定発現する細胞株を用いて、細胞老化誘導能の解析を進める。さらに、細胞老化誘導の詳細な分子経路の解明についても、RNA-seqやトランスクリプトーム解析を利用して行う予定である。
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Causes of Carryover |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額が異なった。しかし、その差額は大きくなく、研究計画は変更せず、前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進めていく。
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