2022 Fiscal Year Research-status Report
卵巣高異型度漿液性癌のシングルセルHRDの解析と腫瘍内不均一性の解明
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22K09606
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
高矢 寿光 近畿大学, 医学部, 講師 (60734689)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 謙臣 近畿大学, 医学部, 教授 (20452336)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 卵巣がん / HRD |
Outline of Annual Research Achievements |
卵巣高異型度漿液性癌(HGSOC)9例について,Oncoscan FFPE Assay(ThermoFisher Scientific)を用いたSNPアレイデータから,我々の開発したプログラムを用いてHRD解析を行った結果,全症例において化学療法後にHRDスコアが低下することを確認した.中でも,化学療法後に大きくHRDスコアが低下した症例と,HRDスコアが低下したものの,低下の程度が小さい症例とに分かれており,化学療法後にもHRDの性質を有する腫瘍細胞が残存する可能性が考えられた. また,それぞれのBRCA1/2遺伝子の変異について解析するために,Oncomine BRCA Research Assay (ThermoFisher Sientific)を用いてBRCA1/2遺伝子のターゲットシークエンスを行い,各症例のHRDスコアおよびBRCA1/2遺伝子におけるヘテロ接合性の欠失(LOH)の有無と合わせて化学療法前後での変化を解析した.その結果,BRCA1遺伝子の変異とLOHが両方とも認められた症例では,BRCA1/2遺伝子の変異またはLOHが単独で認められた症例に比べHRDスコアが高値であった.また,化学療法後にHRDスコアが顕著に減少した全症例において,化学療法後にBRCA1遺伝子のLOHが消失していた.一方で,BRCA1遺伝子の変異を有する症例では,化学療法後の腫瘍においてもほぼ同程度の変異率でBRCA1遺伝子の変異を有しており,BRCA1遺伝子変異そのものは化学療法の効果の指標とはなり得ない可能性が考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度の予定では自験例のHRD解析に加え,パブリックデータの検索とそのデータを用いたHRD解析を行う予定であったが,自験例のBRCA遺伝子異常解析を行い,その系統樹解析を行ったことによりパブリックデータの検索の途中で初年度の研究を終えている.
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Strategy for Future Research Activity |
まず,化学療法前後で腫瘍ゲノムデータを有するパブリックデータの検索と,そのHRD解析を行う.エクソームシークエンスのデータがある場合はBRCA1/2遺伝子の異常についても解析を行う.その後,シングルセルRNA-seqによるパブリックデータを用いたデータ解析を行う.シングルセル解析のデータから1細胞コピー数解析ソフトを用いたコピー数解析を行い,1細胞HRDスコアを解析するためのプログラムを開発する.
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