2022 Fiscal Year Research-status Report
絨毛性疾患と関連するcircularRNAの同定とその臨床的意義に関する研究
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22K09622
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
長谷川 ゆり 長崎大学, 病院(医学系), 准教授 (70627752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 清徳 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (00363490)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 絨毛性疾患 / 全胞状奇胎 / circRNA / 発現 / 胎盤特異的circRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
まずは、目的としていた絨毛性疾患を対象とする前に、胎盤に特異的なcircRNAを同定するため、データベース(circBase: http://www.circbase.org/))と論文検索を行った。Gongら(S Gong, et al. Nat Commun.2021 May 11;12(1):2639)は、302例の胎盤からtotalRNAを抽出し、RNA-seqによりサンプルの30%、90%から検出される3,279個、679個のcircRNAを同定した。胎盤サンプルの100%から検出されたcircRNA (POP100)は、230種類が同定された。circRNAのデータベース (circBase: http://www.circbase.org/)を参照した。Maassら(PG Maass, et al. J Mol Med. 2017 Nov;95(11):1179-1189)の先行研究をもとに、placentaのみに発現しているcircRNA 8種類を抽出した。deciduaのみは5種類、umbilical cordのみは4種類のcircRNAが存在した。これらの検索を元にベン図を作成し、胎盤のみに発現しているcircRNAを胎盤特異的circRNAの候補とし、RT-PCRを用いてこの結果が正しいかどうかを他の組織の発現と比較した。候補としたcircRNAは1種類あり、確かに妊娠初期、末期の絨毛組織で発現を認め、羊膜、臍帯、胎児脳、胎児腎、脱落膜では発現を認めないことを確認した。現在、妊婦の血液で検出可能かどうか、絨毛性疾患ではどのように発現が認められるのかを確認実験を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概要に示したとおり、絨毛組織での発現については胎盤特異的circRNAが同定できており、今後の絨毛性疾患への応用も可能と考えている。よって、概ね順調に研究は進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
母体血漿中の胎盤特異的circRNAの流入について検討する。絨毛性疾患である全胞状奇胎組織での発現量と正常妊娠の絨毛組織の発現量の比較を行い、鑑別に利用可能かを検討する。さらに分子マーカーとするには患者血漿中への流入の有無が重要であるため、流入しているか否かを含め、比較検討を行っていく。
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Causes of Carryover |
現在までの研究はすでに研究室で使用していた消耗品を利用することができたため、残余が発生した。来年以降はさらに検体数を増やして研究を行う方針である。そのため、RNA抽出キットおよびTaqman probeを追加で購入する予定である。
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