2022 Fiscal Year Research-status Report
Basic research for the development of therapeutic agents on endometriosis based upon senolytic regulation
Project/Area Number |
22K09651
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
田村 和広 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (70281409)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
草間 和哉 東京薬科大学, 薬学部, 講師 (30579149)
小島 淳哉 東京医科大学, 医学部, 講師 (70617539)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 子宮内膜症 / 細胞老化 / セノリシス |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト子宮内膜細胞を移植したヌードマウス内膜症モデルにおいて、内膜症様病変でのDNA損傷による細胞老化を示すGamma-H2A.Xの染色像が検出された。 ヒト子宮内膜間質細胞と腺上皮の細胞株を用いた三次元(3D)培養系では、炎症ストレス刺激(低酸素下トロンビン/プロスタグランジンE2処置)した場合、上皮細胞においてSASP因子(インターロイキン6/8)の発現上昇がみられ、EMTマーカーの増加もみられた。 内膜症では、子宮内膜間質の脱落膜化が障害される。内膜間質細胞の分化と共に老化の指標であるSA-β-Gal陽性の老化脱落膜細胞が出現する。SASP因子の発現も上昇して,老化マーカーの発現上昇もみられた。脱落膜化に伴うSA-β-Gal陽性細胞の役割を検討する目的で,老化細胞除去薬セノリティック誘導薬(ケルセチン:Que/ダサチニブ:チロシンキナーゼ阻害薬)を共処置するとこの老化脱落膜細胞は消失し、老化マーカーの発現は低下した。その一方で、脱落膜化マーカーであるIGF結合蛋白質 1、プロラクチン、転写因子FOXO1の発現が著しく増加した。さらに、Queとダサチニブ共処理は、脱落膜化マーカーを相乗的に増加させ、老化マーカーを低下させた。このように、内膜間質細胞の分化は、老化細胞除去薬により促進された。老化細胞の除去効果が知られるBPTESは効果を示さず、老化脱落膜細胞は、一般的な老化細胞とは異なる性質をもつことが考えられた。 子宮内膜症モデルマウスにおけるSASP因子の挙動、申請者らが注目する病巣悪化に関与すると考えられるアクチビンA-CTGFを介したFMT経路との関連性を解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
病変組織における老化細胞の発現の特徴づけについては、病理内膜症検体の組織切片においても現在解析中てある。当初、病変組織と正所性の正常子宮組織における老化細胞とSASP因子の発現を比較解析する予定であったが、学内および学外共同機関の倫理審査の審査申請手続きから承認までに時間を要し、検体の切片作成と初代培養細胞の入手が困難な状況で、研究開始が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、同種間での子宮断片を移植した内膜症モデルマウス及びヒト3D培養内膜細胞をマウスに移植した内膜症モデルを用いたSASP発現及び特徴づけを行う。病変内のSASP形質獲得細胞が周辺細胞にいかなる影響を及ぼしているのかについて、組織切片を作製して、時空間的に細胞老化とアクチビンシグナルを介した増殖・線維化シグナルとの関係を解析する。胎盤栄養膜細胞では、QueがROS産生を抑制してミトコンドリア機能を保護して分化を促進する結果が得られており、病巣でのミトコンドリア代謝にも注目して、Queの機序を解析する。
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Causes of Carryover |
倫理委員会承認時期が遅れ、ヒト組織及び初代培養細胞を用いた検討の一部が残ったため
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