2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K09794
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
藤本 智和 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (50756426)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 俊洋 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (00317025)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 線維柱体細胞 / 眼圧 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では眼圧変化による流出路組織の変化に焦点を当て、線維柱帯細胞の圧負荷により生じる変化を中心に、特に線維柱帯細胞の圧依存的な眼圧調節機構とエピジェネティクス制御の関係に焦点を当てて解析を実施することを目的としている。 本研究開始前の予備検討時に30mmHg、72時間の加圧負荷による細胞数の減少が認められたため、再現性確認のため同一条件で検討したところ、使用する線維柱帯細胞のロット間のばらつきもあり有意な細胞数の減少は再現できなかった。そこで、加圧負荷を1、3、5、7日間で検討した結果、細胞のロット間でのばらつきはあるが、7日間、30mmHgの加圧負荷で細胞の増加抑制が認められた。加圧負荷した細胞のタンパクを回収しウエスタンブロットを実施した結果、p21の発現が有意に上昇していた。p21はサイクリン依存性キナーゼ阻害因子として働くタンパクであり、細胞老化との関係も深い。そこで細胞老化マーカーであるSA-β-galやγ-H2A.Xの発現について検討したが、加圧負荷による細胞老化マーカーの上昇は認められず、7日間の加圧負荷では細胞老化の進行は認められなかった。加圧負荷による線維柱帯細胞の増殖抑制は使用する線維柱帯細胞のロット間にばらつきがあったため、3ロットの線維柱帯細胞を使用し再検討を実施した。その結果、前回の検討と同様に細胞のロット間でのばらつきが大きく、加圧負荷により細胞増殖が抑制されるロットと、抑制されないロットが存在した。本年度の計画では、細胞増殖抑制が強く認められる加圧負荷条件下の線維柱帯細胞より回収したRNAを用いたRNA-seq解析を行う予定であったが、細胞のロット間差が大きいため解析の実施に至らなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の計画では加圧負荷による変化を網羅的に解析するため加圧負荷後の線維柱帯より抽出したRNAをRNA-seqで解析する予定であった。しかし、加圧条件の検討時に当初予想した以上に細胞ロット間のばらつきもあり、条件検討に時間を要したためRNA-seq解析ができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの検討で線維柱帯細胞のロット間のデータのばらつきが大きかった。これは加圧負荷に対する影響の個体差を反映している可能性が考えられる。そのため、各ロットの影響を精査し、加圧負荷に対する感受性が高いロットと低いロットの比較検討を計画している。 また、通常の培養容器を使用した2次元培養では加圧負荷による細胞増殖抑制は認められたがばらつきも大きかった。今後はコラーゲンゲル等を用いた、より生体に近い細胞環境での検討についても実施する予定である。また、眼圧上昇を誘導するTGF-β2やステロイド刺激と加圧負荷を組み合わせた条件での検討も実施する。
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