2022 Fiscal Year Research-status Report
バリア効果と抗炎症効果による脂肪由来幹細胞シートの神経周囲癒着予防効果の研究
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22K09878
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中村 勇太 金沢大学, 附属病院, 医員 (90910555)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 神経の癒着 / 脂肪由来幹細胞 / 神経保護効果 / 癒着予防効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
ラットの左坐骨神経を展開後にまず神経床をバイポーラで焼灼した。そして、焼灼した神経床に神経をナイロン糸で固定することで癒着モデルを作製した。モデルの作製6週後には神経の癒着が完成するため、神経の癒着に対して神経剥離術を施行し、瘢痕から神経を全周性に剥がした。神経剥離術後に生食を投与する対照群と脂肪由来幹細胞(ADSC)を投与するADSC群を作製した。ADSCの作製に関してはZukらの方法でラットの鼠径部の脂肪組織を酵素処理と分離培養することで作製した。また、ADSCの投与に関しては当初、ADSCをシート状にしたADSCシートで投与する予定であったが、ADSCシートの作製には時間がかかり、かつ、再現性も不良であったことから投与方法を見直す必要があると考えられた。そこで、脂肪由来幹細胞をコラーゲンゲルに担持させてADSCゲルとして投与する方法を考案した。投与6週後に評価を行った。評価項目は神経の機能評価(複合筋活動電位における終末潜時、前脛骨筋の筋湿重量)と癒着評価(引張力)とした。 その結果、終末潜時や前脛骨筋の筋湿重量では対照群よりもADSC群において有意に改善していた。また、引張力では対照群よりもADSC群において有意に低下していた。これらのことから神経の癒着に対してADSCを投与することで神経機能を回復させる神経保護効果と神経の癒着を軽減させる癒着予防効果が得られたと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度では神経の癒着に対してADSCを投与することで対照群よりも神経保護効果と癒着予防効果があることが判明した。ADSCの投与方法に関してはADSCシートからADSCゲルに変更となったものの、神経機能や癒着に対して良好な結果を示すことができたことから、おおむね順調に進展していると考えられる。今後はADSCが神経内外に与えた効果に関して検討する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度はADSCが神経内外に与えた効果に関して検討するために、分子生物学的評価や病理学的評価を予定している。
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Causes of Carryover |
高価な設備備品や消耗品の一部がすでに準備されていたことや、海外学会への参加ができなったことなどから次年度使用額が生じた。翌年度では神経の癒着に対する脂肪由来幹細胞の作用機序を解明するために分子生物学的評価や病理学的評価を多く行うことを予定しており、それらの評価のために使用する予定である。
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Research Products
(1 results)