2023 Fiscal Year Research-status Report
プロテインキナーゼN3の構造から探る破骨細胞機能制御機構と阻害剤の臨床応用
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22K09908
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
上原 俊介 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (90434480)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 破骨細胞 / 骨吸収 / Pkn3 / 骨粗鬆症 / 細胞骨格 |
Outline of Annual Research Achievements |
生理的条件下において、骨量の維持は、破骨細胞による骨吸収と骨芽細胞による骨形成の均衡が保たれることで達成されている。加齢、閉経及び炎症などにより、骨吸収が亢進すると骨量が減少し、骨粗鬆症や炎症性骨破壊につながる。 我々は、破骨細胞の骨吸収を制御するシグナルについて解析を行い、サイトカインWnt5aが共受容体Ror2を介して骨吸収機能を亢進させるシグナル系を見出した。このシグナル系の下流において、セリン/スレオニンキナーゼであるプロテインキナーゼN3 (Pkn3) が活性化されることが骨吸収亢進に必要であることを明らかにした。 本研究課題では、Pkn3を阻害する化合物を見出し、骨粗鬆症の治療につなげることを目的としている。これまでに、SB202190という化合物が破骨細胞の骨吸収をin vitroでもin vivoでも抑制することを明らかにした。しかし、リコンビナントのPkn3に対する阻害効果が示されているH-8やY27632では、破骨細胞の骨吸収が抑制されなかった。そこで、破骨細胞に発現するPkn3がスプライシングバリアントであるかどうかを調べたが、cDNAの塩基配列に違いは認められなかった。 今年度は、翻訳後修飾によるタンパク質レベルでの違いについて解析する予定である。そのため、まずは破骨細胞を大量に調製し、Pkn3を精製する。精製したPkn3をLC/MSを用いて解析し、リン酸化や糖鎖修飾、アミノ酸の切断などの違いについて明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
破骨細胞で発現するPkn3に対する阻害剤の効果から、スプライシングバリアントの可能性を考えて、cDNAの配列を調べてきたが、配列には変化が認められなかったため。今年度は、翻訳後修飾における違いについて解析予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
破骨細胞に発現するPkn3の翻訳後修飾について、リン酸化や糖鎖修飾を調べる予定である。そのため、まずは破骨細胞を大量に調製し、Pkn3を精製する。精製したPkn3をLC/MSを用いて解析する。
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Causes of Carryover |
参加する学術集会の数を制限したため、旅費として予定していた出費がなかったため。 今年度は、精製Pkn3を大量に調製するため破骨細胞の培養に必要なサイトカインを予定より多く購入する必要がある。また、LC/MS解析を外注する。
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Research Products
(2 results)