2023 Fiscal Year Research-status Report
軟骨吸収細胞septoclastの軟骨基質との接着機構と分化誘導メカニズムの解明
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22K09917
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
坂東 康彦 明海大学, 歯学部, 准教授 (80735548)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | septoclast / ペリサイト / 血管内皮細胞 / 骨端板 / extracellular matrix / インテグリン / マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に①septoclastと軟骨基質中のextracellular matrix の関係の形態学的解析と②septoclastとペリサイト培養細胞系の確立のための条件検討と準備を行った。 本年度は、業績として昨年度の成果がBando et al. J Anat. 2023:831-845. doi: 10.1111/joa.13820.として公表された。 研究の遂行としては上記②の確立のための条件検討と③ septoclastにおけるインテグリンα2β1を介するコラーゲンシグナル伝達系の解析を行った。②に関して:septoclastはpericyteに由来し、PDGFRβを共通に発現するが、インテグリンα2はseptoclastにのみ発現しpericyteには発現しないことを確認し、これらの発現の違いを利用してマウス骨端板組織からセルソーティングによりseptoclastとpericyteを単離し、DNA発現レベルでの解析を行うため、細胞分離の手順、フローサイト試薬の選択と濃度、ソーティング後の培養法と解析手段の検討を進めている。③に関して:マウス骨端板組織からセルソーターを用いてPDGFRβとインテグリンα2を指標に細胞の分離採取を実行中である。PDGFRβ-インテグリンα2共陽性細胞とPDGFRβのみ陽性細胞をRT-PCR法を用いて確認したところ、共用性細胞群のほうがPDGFRβのみ陽性の細胞群よりseptoclastのマーカーである表皮型脂肪酸結合タンパク(E-FABP, FABP5)とcathepsin Bの有意な上昇が確かめられた。最終年度である来年度は、さらに②で行っているソーティングの条件を改良し、これらの細胞群のRNAシーケンス解析による比較を行い、その結果をもとに④ペリサイトからseptoclastへの分化誘導のメカニズムの解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では本年度に②septoclastとペリサイト培養細胞系の確立と③ septoclastにおけるインテグリンα2β1を介するコラーゲンシグナル伝達系の解析を終了し、来年度にそれらの結果をふまえて④ペリサイトからseptoclastへの分化誘導のメカニズムの解析を行う予定であった。 本年度は②と③に関連し、セルソーターを用いたseptoclastとペリサイトの分離は成功しつつあるが、それらをもとにした解析がまだ進んでいない状況である。セルソーティングの至適条件の設定と分離した細胞のRT-PCR、RNAシーケンス等の解析がなされていないため、研究の進捗は遅れていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である来年度には、今年度から引き続き②septoclastとペリサイト培養細胞系の確立のための至適条件の探索、③ septoclastにおけるインテグリンα2β1を介するコラーゲンシグナル伝達系の解析に加え、当初から最終年度に予定していた④ペリサイトからseptoclastへの分化誘導のメカニズムの解析を遂行する。 ②に関してはセルソーティングのより良い条件の探索、③に関しては分離した細胞のRT-PCR、RNA-seq等の本年度までに完了していない解析を行う。 ④に関しては、ソーティングにより単離培養したseptoclastとペリサイトにRT-PCR、RNAシーケンス等で比較解析を行い、ペリサイトからseptoclastへの分化誘導機構を網羅的に探る。septoclastの分化は軟骨基質や毛細血管内皮細胞と密接な関連をしていると推測される ため、必要に応じて培養軟骨細胞、血管内皮細胞との共培養系も導入する。
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