2023 Fiscal Year Research-status Report
歯性感染由来の発熱性好中球減少症リスク判断指標の解明-乳がん補助化学療法を対象に
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22K09982
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
曽我 賢彦 岡山大学, 大学病院, 准教授 (70509489)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 歯性感染症 / 発熱性好中球減少症 |
Outline of Annual Research Achievements |
乳がん治療の術前および術後補助化学療法で歯内・歯周疾患の歯性慢性感染症が発熱性好中球減少症に及ぼす影響の実態解明を行うために、2015~2019年度に本院でアドリアマイシン(Adriamycin)とシクロホスファミド (Cyclophosphamide)を併用するAC療法を受けた患者約270名に行われた約1,280回の化学療法(術前あるいは術後化学療法として行われるAC療法は通常1患者に4回行われる)を対象とし、発熱性好中球減少症の発症に占める歯性慢性感染の影響の実態を調べた。 その結果、AC療法を受けた患者において、確かに口腔由来の感染症が関連していると思われる発熱性好中球減少症が相応の割合で見出されたが、智歯周囲炎および口腔粘膜障害によると推測されるものが多く、歯内・歯周疾患の歯性慢性感染症と関連するものの割合は低かった。ただ、発症した際は、口腔感染症と言えどもG-CSF(Granulocyte Colony Stimulating Factor:顆粒球コロニー形成刺激因子)を要する全身性の感染症に進展したケースがほとんどであった。 国内・国際学会に出席し、最新の研究に関する情報についての収集を行うとともに、パクリタキセル (Paclitaxel) とシクロホスファミド (Cyclophosphamide)を併用するTC療法を受けた患者を対象とした調査の準備にあたっている。TC療法はAC療法と比べて有効性が上回るとする報告がなされている一方、発熱性好中球減少症の発生頻度が高いとされる。 また、実施した研究による知見を織り交ぜ、歯内・歯周疾患の歯性慢性感染が発熱性好中球減少症に及ぼす影響ならびにがん治療における口腔支持療法の重要性について、招待講演で発表・発信を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
一昨年度、診療業務において新型コロナウイルス感染症対策に追われたため、進捗が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
一昨年度、診療業務において新型コロナウイルス感染症対策に追われたため、進捗は予定より1年遅れているが、新型コロナウイルス感染症の流行が比較的落ち着き、昨年度は順調に進んでいる。本院で乳がんに対するACおよびTC療法を施行された患者を対象とし、化学療法中の発熱性好中球減少症の発症に占める歯性慢性感染の影響の実態調査を進めるとともに、パノラマX線検査、CPITN、PISA、および歯周病原細菌に対する血清抗体価検査結果と発熱性好中球減少症の発症との相関を調べ、結果を関連学会で公表する。一昨年度に新型コロナウイルス感染症の流行により遅れた分を期間内に実施することは困難かも知れない。研究の進捗状況によっては研究実施期間の延長を検討する。期間が確保できれば本研究を完遂することが可能である。
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Causes of Carryover |
一昨年に新型コロナウイルス感染症の流行のため実験の進捗が遅れ、その影響がまだ残っており、次年度使用額が生じた。遅れた実験について次年度実施する際に使用する予定である。
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