2022 Fiscal Year Research-status Report
根尖病巣複合Biofilmの性状解明と天然成分エッセンシャルオイルの有用性
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22K10002
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
原口 晃 九州大学, 大学病院, 助教 (00734998)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 尚久 九州大学, 大学病院, 教授 (60380466)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | E. faecalis / biofilm |
Outline of Annual Research Achievements |
根尖性歯周炎は歯周病同様細菌感染で惹起される感染症であり、心疾患との関連も報告されている。根尖性歯周炎の原因菌の一つとされるEnterococcus faecalis (E. f )は、根管治療中に高頻度に検出され、菌血症や感染性心内膜炎との関連も示唆されている。起源として二次的に根管内に侵入し他種細菌とバイオフィルムを形成し治療に抵抗性を獲得するとされる。根管内の感染源の除去には機械的、化学的方法が行われてきたが抵抗性を示す症例に対しては、革新的治療法の開発が望まれる。E. fを含む根尖性歯周炎の細菌叢では、E. fと他の細菌が複雑なバイオフィルム構造を形成している可能性が高い。これによりE. f単独に比べ新たな病原性の獲得、若しくは既存の病原因子が増悪されることで炎症が急速に進行する可能性があるとの仮説のもと、E. fと感染根管内での存在が報告されている他の細菌種との相乗的あるいは競合的相互作用、ならびに他種細菌の病原性の変化を検討する必要が生じた。今回の研究ではまず、根尖性歯周炎で検出されるE. f と他種細菌Porphyromonas gingivalis (P. g )、Fusobacterium nucleatum (F.n )、Prevotella intermedia (P. i )などのとの相互作用を解明することとした。 現在、各種細菌の菌体懸濁液、培養上清で各バイオフィルムを処理し、そのバイオフィルム形成増強効果、剥離効果試験を行っている。E.f、P.g、P.i、F.nを用いて複合バイオフィルムに対するバイオフィルムの性状の変化を観察を行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
E. fと感染根管内での存在が報告されている他の細菌種との相乗的あるいは競合的相互作用、ならびに他種細菌の病原性の変化を検討する必要が生じた。今回の研究ではまず、根尖性歯周炎で検出されるE. f と他種細菌との相互作用を解明することとした。 現在、各種細菌の菌体懸濁液、培養上清で各バイオフィルムを処理し、そのバイオフィルム形成増強効果、剥離効果試験を行っている。E.f、P.g、P.i、F.nを用いて複合バイオフィルムに対するバイオフィルムの性状の変化を観察を行っているところである。各複合バイオフィルムの作成にあたり菌量の比率を少し変えるだけで複合バイオフィルムの性状に大きな変化があることが示唆され、明確な相互関係の示唆が複雑になってきている。また それぞれの複合バイオフィルムについても精密に検証する必要が出てきたためで当初の計画からやや遅れることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
大筋の研究については当初の予定通り特定のプロテアーゼインヒビターを用いて増強剥離試験を行い影響のあるプロテアーゼの種類を特定する。また、バイオフィルム表面形態の変化をSEMおよびLive/Dead Baclight染色による共焦点レーザー顕微鏡(CLSM)にて評価する。 また、各株の培養上清をイオン交換クロマトグラフィーにかけ、フラクション毎に増強剥離効果検証試験を行う。これにより標的タンパクを含む画分を明らかにする。 そして各フラクションに含まれるタンパクをSDS-PAGE、二次元電気泳動(2D-PAGE)で分離し、その泳動像の比較からスポットを選択、質量分析によりタンパクを同定する。結果をインヒビターによる効果判定結果と合わせて検証する予定である。 複雑な複合バイオフィルムの性状については特筆すべきものについては追加実験を追加で行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
当初の予定よりやや遅れているため使用予算が次年度へ繰越となった。今後の大筋の研究については当初の予定通り特定のプロテアーゼインヒビターを用いて増強剥離試験を行い影響のあるプロテアーゼの種類を特定する。また、バイオフィルム表面形態の変化をSEMおよびLive/Dead Baclight染色による共焦点レーザー顕微鏡(CLSM)にて評価する。 また、各株の培養上清をイオン交換クロマトグラフィーにかけ、フラクション毎に増強剥離効果検証試験を行う。これにより標的タンパクを含む画分を明らかにする。 そして各フラクションに含まれるタンパクをSDS-PAGE、二次元電気泳動(2D-PAGE)で分離し、その泳動像の比較からスポットを選択、質量分析によりタンパクを同定する。結果をインヒビターによる効果判定結果と合わせて検証する予定である。 複雑な複合バイオフィルムの性状については特筆すべきものについては追加実験を追加で行っていく予定である。
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