2022 Fiscal Year Research-status Report
口腔・認知機能Web評価システムの地域展開による健口・健康長寿実現戦略
Project/Area Number |
22K10078
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
瀬山 真莉子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 特任研究員 (30875787)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 和美 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (90214121)
松山 美和 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (30253462)
渡辺 朱理 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 講師 (80585026)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 口腔機能 / 認知機能 / 情報通信技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
アルツハイマー型認知症への歯周病原性細菌の関与など口腔衛生と認知症発症の関係も含め,口腔機能低下と認知機能低下の関連性が明らかにされつつある近年,“歯科口腔保健”目線での認知症発症予防や進行抑制に関する取り組みが急務である。本研究で計画している教育プログラム,すなわち両機能の同時注視の必要性や重要性に対する気づきを促すための通いの場や高齢者施設への集団的アプローチ,ならびに対象者による口腔・認知機能Web評価システム(以下,本システム)の継続利用に向けた導入・拡充の方向性を検討すべく,先んじて稼働中の本システムの蓄積データを本年度においてまず網羅的に解析した。その結果,約500日間の運用で800名程度が本システムを利用し,その年令は5歳から101歳にわたっていた。かなひろいテストの評価指標あるいはオーラルディアドコキネシスのデータを年齢階層間で比較したところ,正答率と読字速度,またオーラルディアドコキネシスは75歳以上高齢者群が他の若い年齢群より低値であることが明らかになった。また,認知機能の解析指標とオーラルディアドコキネシスのデータ間で一定の相関が確認された。さらに,生活習慣とくに読字量の多少でデータを比較したところ,読字速度は読字量の多い群が少ない群より低値を示し,オーラルディアドコキネシスの音節Taの発語数は読字量の多い群が少ない群に比して高値を示した。以上から,本システムの蓄積データが利用者の認知機能および口腔機能の態様提示に有用であることが示唆され,システム拡充の方向性,すなわち継続利用を促すためのかなひろいテストの題材追加の必要性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
口腔機能と認知機能の同時注視の必要性や重要性に対する気づきを促すための教育プログラムを実施するにあたり,研究対象である通いの場の参加自立高齢者および高齢者施設の職員や利用者(要介護高齢者)の協力を得て,専用機器を用いた口腔機能の測定とシステム端末による認知機能の評価といった訪問調査が必要であったが,新型コロナウイルス感染拡大に伴う行動制限によって令和4年後半まで調査の機会を得ることが叶わなかったため,やや遅れていると評価した。しかしながら,その後の新規陽性者数減少や行動制限緩和によって訪問調査が可能となり,まず高齢者施設の職員や要介護高齢者に対する口腔機能・認知機能の測定を実施し,現在その結果を集計しているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
教育プログラムのなかで,事前に行う口腔機能や認知機能の測定結果を研究対象者にフィードバックすることを予定している。このフィードバックは両機能の同時注視の必要性や重要性に対する内発的動機付けを促進する方策として極めて重要である。高齢者施設の対象者については,結果集計とフィードバック資料作成の作業を迅速に行うとともに,通いの場の対象者については今後,訪問調査の機会を設けて両機能の測定を行いフィードバックに向けた作業を行う予定である。そして次年度以降において各対象者に対し,フィードバックに基づいた本格的な教育プログラムを実施していく予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)世界的半導体不足等による影響で,認知機能評価(かなひろいテストの課題遂行)に最適なディスプレイサイズのシステム端末(タッチパネルディスプレイ式パーソナルコンピュータ)が現在でも入手困難な状況にあり,この費用を使用しなかった。加えて,新型コロナウイルス感染拡大に伴う行動制限によって本年度研究期間の大半で研究対象の通いの場および高齢者施設への訪問調査の機会を逸し,旅費や謝金(大学院生の研究補助)の使用が遅れたため次年度使用額が生じた。これらの状況が影響し,システムの導入および拡充の行程についても当初予定の行程より遅れた。 (使用計画)通いの場参加高齢者に対する訪問調査を予定し,調査旅費および研究補助者への謝金に充てることとする。加えて,システム拡充(かなひろいテストの題材追加)の費用についても翌年度分として請求した研究費と合わせて使用する予定である。なおシステム端末については,現在運用中の端末と極力整合した仕様の端末を調達する予定である。
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Research Products
(2 results)