2023 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of molecular mechanisms of organ size and morphogenesis for dental regenerative medicine
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22K10079
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
大島 正充 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 准教授 (00548307)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
生田目 大介 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (10910218)
松香 芳三 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (90243477)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 歯 / 器官発生 / 線維芽細胞増殖因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究計画に沿って実験を行い、以下の研究成果を得た。 1) 器官発生における未解明な線維芽細胞増殖因子群(FGFs)の抽出と局在解析:同一個体内(顎骨内)に存在する乳歯および永久歯のサイズ・形態的相違に着目し、発生期のイヌ乳歯・永久歯歯胚を比較した遺伝子発現データベースを作成し、FGFs候補遺伝子としてFGF2ならびにFGF14を抽出した。 2) FGFsの器官発生・形態形成に及ぼす影響の解析:マウス切歯歯胚の器官培養系にて、項目1)で抽出されたFGFsのサイトカイン添加を行い、器官サイズや形態形成に与える影響を観察した。FGF2による切歯の短小化、FGF14による切歯の伸長促進が認められた。FGF2添加により切歯歯胚の発生における伸長抑制とサービカルループ領域の肥大化が認められ、FGF2濃度依存的に切歯伸長の抑制効果は高くなることが示された。また、FGF2阻害剤(SU5402)を培養系に添加することで切歯の伸長が認められることから、FGF2は歯胚の伸長抑制効果があることが示された。組織学的解析では、FGF2添加によるエナメル質の減形成および象牙質形成の亢進・肥厚化が認められた。一方、FGF14添加により切歯エナメル芽細胞層の肥厚と増殖、多層化が認められた。以上より、FGFsが歯胚発生・形態形成に関与していることが示唆された。 3) FGFsによる発生/形態形成関連遺伝子の変動解析:FGF2およびFGF14添加による歯胚上皮/歯胚間葉の遺伝子発現を未分化・分化マーカーを指標に解析中である。4) FGFs刺激による歯胚・唾液腺原基細胞の3次元動態解析:次年度以降に実施予定。5) 再生器官に対するFGFs応用による器官サイズ/形態的検証:次年度以降に実施予定。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度までにFGFsによる歯胚の形態形成に変化が現れており、FGF2阻害剤(SU5402)を培養系に添加することで歯胚伸長が認められることから、FGFsの効果によって今回の形態変化が生じていることが実証された。本研究における研究的エビデンスが得られていることから、上記の結果を考慮するとおおむね順調に進行していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
進捗状況は順調であるため、計画された内容に沿って進めていく。抽出された遺伝子群の局在と機能予測のもと、FGFs添加による組織解析およびFGFs濃度による伸長抑制が明らかとなり、サービカルループ領域の形態変化が示された。また、FGF2の阻害剤を添加した器官培養系を構築したことにより、器官サイズおよび形態変化に及ぼす影響は、添加されたFGF2による効果であることが明らかとなり、今後の研究を進めるにあたり確固たる地盤をされたと考えられる。 最終年度はFGFs添加による歯胚発生の形態変化をより詳細に解析するため、歯胚の器官培養後の上皮組織・間葉組織における走査型電子顕微鏡解析を予定する。また、FGF2およびFGF14添加による歯胚上皮/歯胚間葉の遺伝子発現を未分化・分化マーカーを指標に解析を進めるとともに、FGFs刺激による歯胚の3次元動態解析、再生器官に対するFGFs応用による器官サイズ/形態的検証を進めていく。
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Causes of Carryover |
実験機材・実験用動物の有効利用を進めたこと、実験効率の向上と結果が安定していたこともあり、予定された実験を大幅に縮小することができたことが考えられる。新型コロナウイルス感染症の拡大以降、研究打ち合わせの多くがWEB開催に推移しており、計上していた旅費等も繰り越しとなったため、次年度使用額が生じた。繰り越された予算は消耗品費として計上して、翌年度分として請求した研究費と合わせて最終年度の実施計画に沿って使用する予定である。
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Research Products
(11 results)
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[Presentation] デジタル化に対応したクラウンブリッジ補綴学実習の検討2023
Author(s)
細木真紀, 生田目大介, 宮城麻友, 大倉一夫, 井上美穂, 小澤 彩, 柴垣あかり, 谷脇竜弥, 鴨居浩平, 板東伸幸, 吉原靖智, 大島正充, 鈴木善貴, 新開瑞希, 松香芳三
Organizer
日本補綴歯科学会第132回学術大会
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[Presentation] 睡眠時ブラキシズム患者に装着したアプライアンスの変形を観察した症例2023
Author(s)
小澤 彩, 鈴木善貴, 田島登誉子, 大川敏永, 鴨居浩平, 大倉一夫, 谷脇竜弥, 井上美穂, 吉原靖智, 大島正充, 安陪晋, 松香芳三
Organizer
日本補綴歯科学会第132回学術大会
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[Presentation] デジタルワークフローを用いたミュージックスプリント内面のデザインに関する予備検討2023
Author(s)
湯本華帆, 鈴木善貴, 鴨居浩平, 大倉一夫, 小澤 彩, 新開瑞希, 谷脇竜弥, 柴垣あかり, 大川敏永, 河野文昭, 武川大輔, 大島正充, 松香芳三
Organizer
日本補綴歯科学会第132回学術大会
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[Presentation] 睡眠体位療法による睡眠時ブラキシズムへの効果の検討2023
Author(s)
青木映璃, 鈴木善貴, 新開瑞希, 小澤 彩, 柴垣あかり, 谷脇竜弥, 吉原靖智, 大倉一夫, 井上美穂, 池田隆志, 大島正充, 松香芳三
Organizer
令和5年度公益社団法人日本補綴歯科学会中国四国支部学術大会
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