2022 Fiscal Year Research-status Report
咀嚼が唾液中BDNFならびに認知症発症に与える影響-ヒト高齢者を対象とした研究-
Project/Area Number |
22K10101
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
三野 卓哉 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (10625718)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
窪木 拓男 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (00225195)
大野 彩 (木村彩) 岡山大学, 大学病院, 講師 (20584626)
大野 充昭 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (60613156)
山下 徹 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (60644408)
黒崎 陽子 岡山大学, 大学病院, 助教 (90759664)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 脳由来神経栄養因子(BDNF) / 認知症 / 咀嚼 |
Outline of Annual Research Achievements |
トライアルとして2名の成人健常男性を対象に,無刺激ガム(唾液検査で用いる無味,無香料のガム)を用いた試験的咀嚼運動刺激を与えた.試験的ガム咀嚼運動時間は60分と設定した.2mlの採血は試験的ガム咀嚼運動刺激開始の5分前(ベースライン)と運動刺激終了直後の計2回行った.唾液の採取は試験的ガム咀嚼運動刺激開始の5分前(ベースライン)と刺激開始後1分,20分,40分,60分,90分(刺激終了後30分)の計6回行った.採取した唾液と血液は,4°Cで15分間3000rpm遠心分離し,-70°Cで保存した後にBDNF濃度を測定した.BDNF濃度の測定には”Mature BDNF ELISA Kit Wako”を用いた. 血漿BDNF濃度は被験者A,B共にベースライン時に比較し運動刺激終了直後が低い傾向を示した.60分の試験的ガム咀嚼時間では,血漿BDNF濃度へ影響を与えるには刺激が少ない可能性が示された.一方,唾液BDNF濃度に関して被験者Aでは,ベースライン時が一番高く,刺激開始後1分で最も低くなり,そこから刺激開始後90分まで徐々にBDNF濃度が高くなる傾向を示した.被験者Bの唾液BDNF濃度はベースライン時と刺激開始後1分以外は濃度が低すぎるためか測定ができなかった. 今後は再度倫理委員会への申請を行ったうえで,試験的ガム咀嚼時間を延ばすことで咀嚼刺激を強くし,再トライアルを行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の所属機関の異動が予定されていたこともあり,研究体制が組みにくかったため
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Strategy for Future Research Activity |
本申請研究の第一の目的は,認知機能が正常なヒト高齢者において,どの程度の咀嚼運動時間により血液中ならびに唾液中のBDNF濃度を明確に上昇させるか,を明らかにすることである.本検討を行うに際して,研究代表者の所属施設が変わったため,まずは倫理委員会の申請書類を作成したうえで,研究を開始する. 具体的な計画は以下である。 健全ボランティア高齢者10名とする.本実験は,対象者に与える侵襲性への配慮と実行可能性の観点から単群介入試験デザインで実施する.介入は無刺激ガム(サリバーガムα)を用いた120分間の咀嚼運動刺激とし,介入中は積極的にガムを咀嚼するように指示する.研究対象者の静脈にカテーテルを留置し,介入開始5分前をベースラインとし,介入開始後30,60,90,120,150,180分の計7回のタイミングで唾液ならびに血液を採取する.唾液採取に関して,咀嚼運動介入中は刺激時唾液として1分間分の唾液をすべて採取し,ベースライン時ならびに介入後は安静時唾液として5分間分の唾液をすべて採取する.採血量は一回毎2mlとし,ルートに残った血液が結果に影響しないように採血毎にルート内に残存した血液を破棄する.採取した唾液と血液は,4℃で15分間3000rpm遠心分離し,-70℃で保存する.そして,BDNF ELISA kit(FUJIFILM Wako)を用いて唾液中,血漿中のBDNF濃度を測定し,ガムを用いた咀嚼運動刺激による唾液中ならびに血液中BDNF濃度の推移を評価し,ベースライン時のBDNF濃度より有意に濃度が上昇し始めた時間を明確にBDNF濃度に影響を与える咀嚼運動刺激時間と設定する.
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Causes of Carryover |
研究代表者の所属機関の異動に伴い,研究を継続し難い環境となったため経費の使用予定に遅れが生じた.次年度は,申請研究に用いる分子生物学的機器,試薬,人件費に加えて研究発表のための旅費等に助成金を用いる予定である.
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