2022 Fiscal Year Research-status Report
マイクロバイオームが制御する口腔癌幹細胞ニッチにおけるPD-L1の発現動態の解明
Project/Area Number |
22K10120
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
谷 亮治 広島大学, 病院(歯), 助教 (10291486)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 口腔癌幹細胞 / ニッチ / PD-1 / PD-L1 / マイクロバイオーム |
Outline of Annual Research Achievements |
多くの癌種において癌細胞のT細胞抑制性リガンド PD-L1(programmed cell death ligand-1)の発現が高いと患者の生命予後が不良である。これは免疫細胞と癌細胞とのPD-1/PD-L1免疫チェックポイントシグナルによる免疫抑制作用が原因と考えられ、さらに腸内のマイクロバイオームがこの抑制作用に影響することが報告されている。したがって、癌幹細胞周囲の微小環境(癌幹細胞ニッチ)においても同様な機序が働いている可能性が考えられる。しかし、現在までにマイクロバイオームと癌幹細胞ニッチにおけるPD-L1発現動態について解析した報告はなく、癌幹細胞ニッチにおける免疫制御機構については全く不明である。本研究において口腔癌幹細胞の細胞特性を有するCD133陽性細胞を用いて免疫調節因子(PD-1、PD-L1、PD-L2)、未分化細胞マーカー、接着分子マーカー、上皮間葉転換を制御する転写因子の遺伝子発現についてRT-PCR法にて解析した結果、CD133陽性細胞において免疫調節因子(PD-1、PD-L1、PD-L2)の遺伝子発現はみられなかったが、E-Cadherinならびに未分化細胞マーカーであるOct遺伝子とTwist遺伝子発現を認めた。臨床的検討として、治療前の口腔癌患者および健常人の腸内ならびに口腔内細菌の多様性解析を行うために、口腔癌患者と健常人の糞便とデンタルプラークを採取し、16SrRNAのT-RFLP法にて菌叢構造解析を行った。その結果、口腔癌患者において口腔内細菌叢のPorphyromonas,Prevotellaの占有率が健常人と比較し有意に高く、腸内および口腔内細菌叢は健常人とは異なる菌叢構造(dysbiosis)を有していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
口腔癌幹細胞ニッチにおける免疫抑制機構について検討するために、無血清培養下で継代維持している口腔癌細胞株から、口腔癌幹細胞の細胞特性を有するCD133陽性細胞の分離に成功し、遺伝子発現を解析することができた。しかし、扁平上皮癌細胞株からCD133陽性細胞を分離することにより非常に少数の細胞数になるため、口腔癌幹細胞を標的とした細胞傷害活性試験など免疫細胞機能を解析する実験系を構築することが困難であった。
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Strategy for Future Research Activity |
扁平上皮癌細胞株からCD133陽性細胞を分離することにより非常に少数の細胞数になるため口腔癌幹細胞の性質を有する他の細胞株で検討する必要があると考え、放射線耐性口腔癌細胞株を用いて検討を行っていく。
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Causes of Carryover |
臨床的検討として、腸内細菌叢や口腔内細菌叢の解析を行うための症例数が予定より少なかったため、臨床検体を用いた解析を十分に行うことができなかった。今年度、臨床症例をさらに収集して、臨床検体の解析を行う予定である。
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Research Products
(9 results)