2022 Fiscal Year Research-status Report
神経障害性疼痛の病態におけるTRPV1 Self-activation仮説の立証
Project/Area Number |
22K10158
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
代田 達夫 昭和大学, 歯学部, 教授 (60235760)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 仁 昭和大学, 歯学部, 講師 (00594954)
篠田 雅路 日本大学, 歯学部, 教授 (20362238)
椋代 義樹 昭和大学, 歯学部, 講師 (50325099)
稲田 大佳暢 昭和大学, 歯学部, 助教 (80909119)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 神経障害性疼痛 / シュワン細胞 / マクロファージ / c-jun |
Outline of Annual Research Achievements |
末梢神経損傷後の神経再生過程にはシュワン細胞やマクロファージの関与が報告されている。しかし、両者間の情報伝達を介した軸索再生および神経障害性疼痛の発症機序については不明な点が多い。本研究では末梢神経損傷後の再生過程における各種細胞におけるTRPV1 (Transient Receptor Potential Vanilloid 1)やJNK(c-Jun N-terminal kinase)、c-Junなどの局在を解析した。本年度の研究成果としては、末梢神経損傷後、局所の神経損傷部位においてマクロファージを除去することによって神経再生が遅延し、c-jun陽性シュワン細胞が消失することが明らかとなった。c-jun陽性シュワン細胞は神経修復に深く関与する修復型シュワン細胞であることが報告されている。また、下歯槽神経に損傷を加えたSDラット(下歯槽神経損傷モデル)と下歯槽神経を露出させたのみで閉創したSDラット(Sham)を用いた行動学的実験においても、マクロファージを除去した下歯槽神経損傷モデルはShamに比べてオトガイ部の機械的刺激に対する閾値の上昇からの回復が遅延することが示された。このことは神経損傷部位の局所におけるマクロファージの消失は神経修復過程に大きく影響を及ぼすことが示唆された。 マクロファージの除去とc-jun陽性シュワン細胞とのクロストークについては、TPRV1をはじめとするイオンチャネルやc-junに関連するMAPキナーゼであるJNKの関与を検討中であり、損傷を受けた下歯槽神経の局所において遊走するマクロファージにはリソソーム酵素であるカテプシンSが発現することも明らかとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
下歯槽神経切除モデル動物を用いた実験を実施し、各種投薬に対する感覚機能に関する良好なデータの蓄積が得られている。次年度よりさらに詳細な解析を行うことによって成果発表に十分なデータが得られるものと判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
得られた感覚機能改善に関するデータをin vivoのみならずin vitroでの 解析も進めていく。in vivoではc-junに関連するMAPキナーゼであるc-Jun N末端キナーゼ((c-Jun N-terminal kinase: JNK)やTRPV1 (Transient Receptor Potential Vanilloid 1)の発現変化や(Small Ubiquitin-related Modifier(SUMO)との関連を評価する。またin vitroにおける 解析では、シュワン細胞および線維芽細胞の初代培養を用いてシュワン細胞におけるc-junの発現解析を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
購入した試薬の一部について既存の抗体などが使用可能であったためそれを代用することとした。次年度以降に別の試薬の購入費用として使用する予定である。
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